ここでは,サンプリングやワークショップ,学会発表などの研究に関わる様々な活動の一部を紹介していきます.更新頻度は,気分次第.
2025年8月16日に瀬戸内国際芸術祭2025のパフォーミング・アーツイベントとして、「SIOMEが変わる時」のタイトルのもと、トークイベントを実施させていただきました。トークのパートナーは、東京藝術大学から香川大学の特命助教として来られた間瀬朋成先生です。間瀬先生とは、海洋表面に見られる収束帯である潮目を対象として、私はサイエンスの視点で、間瀬先生はアートの視点で、ともに試料採取に行ったりしています。潮目は、瀬戸内海のアッサンブラージュ(フランス語で「寄せ集め」)であり、流れ藻から下の写真にあるような稚魚まで、さまざまなものが集まってきます。加えて近年では、プラスチックごみ等も集まります。そのようなごっちゃ混ぜの環境でありながらも、海洋生態系においては重要な役割を果たす潮目は、さまざまな情報が混在する場所なのです。潮目の形成の仕方の1つに、異なった水塊のぶつかり合いがあります。これになぞらえて、私たちが取り組んでいる科学×芸術のプロジェクトも1つの潮目を生んでいるだろうとの考えのもと、潮目を中心として、近年の科学と芸術が協働する意義から実施の内容まで、幅広く紹介させていただく機会となりました。
「SIOMEが変わる時」宣伝用のポスター(香川大学 三谷なずな 助教作成)
今回の研究の舞台は,瀬戸内海.瀬戸内海では,様々な魚種の養殖が盛んに行われています.例えば,香川県から始まったハマチ養殖や,日本食には欠かせないノリ,そして,今回の研究対象のカキ.カキの養殖場では,カキがろ過捕食者であるために,周辺の海域をクリーンにする役割を持ち合わせています.一方で,カキが集めた粒子が糞などになって,湾全体でみればきれいになっていても,カキ棚直下では,底質に多くの有機物をためてしまうことがあります.では,カキの存在によって,その海域(とりわけカキ棚直下)の物質の循環は,どのように変化するのでしょうか?本研究では,カキ棚直下の物質循環と,同時に,カキそのものの栄養素の変化を追いながら,カキ棚があることによる海域の変化を追っていきます.
牡蠣棚には,カキが稚貝の頃から吊るされています
水中では,数え切れないくらいのカキがみれます
水中にいるときのカキの様子.
ヨコに口が開いているのがカキ
調査は,潜水しながら行っています
今回の研究の舞台は,南大洋(南極海).南極の周りに広がる海域です.今年で30周年を迎える白鳳丸に乗って,南アフリカはケープタウンから,南極海を調査し,オーストラリアはパースに着岸するという1か月間の研究航海に参加してきました.
今年で30周年を迎えるらしい.
研究用海水の出る蛇口(表層3ⅿの海水をくみ上げている)からサンプリング.一日4回のサンプリングを毎日続けた.
温度,蛍光光度計や水深などを観測する機器のフレームにニスキン採水機を取り付け,任意の水深で海水試料のサンプリングが可能.XCTDは,使い捨てタイプのCTD.
ピンク色の水が採れる湖を見たことがありますか?そんな不思議な水塊をもつ湖が,実は,日本にあるんです!場所は,鹿児島県は甑島.海に面した縦に長い湖:貝池と呼ばれる湖です.
ここが貝池!!といいたいのですが,この写真は,長目の浜展望台からとった鍬崎池(一番手前),貝池(真ん中,ほぼ見えない),海鼠池(一番奥)の様子です.貝池と海鼠池は,潮の満ち引きなどを介して水が往来します.ほんとは,貝池そのものがよかったのですが,全体を写すだけの高さが足りなかったので,この景色なきれいな方を掲載しました.
深度4ⅿあたりの水を採水すると,それ以浅では透明だった水が,急にピンク色になります!それとともに,硫化水素の匂いも.このピンク色の正体は,バクテリアで,クロマチウム類という紅色硫黄細菌です.
さんふらわあ号!今回は,サンプリングをするため,ボートやタンク,採泥器など多くの機材を運ぶ必要がありました.そのため,東京から車で大阪まで運び,大阪から鹿児島まではさんふらわあ号につんで現地まで向かいました.おすすめです!
「体にいい」と一時期(今も?),注目を浴びていたドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの多不飽和脂肪酸.植物プランクトンの持つ脂質を評価する上でも是非知りたい組成の1つでもあります.しかしながら,それらの化合物の分析は,いくつかのステップ(前処理)を介して,ガスクロマトグラフィー質量分析機器(GC-MS)で分析するのですが,前処理もGC-MSで得られた結果も,初めて扱うにはハードルが少し高いです.
今回は,そんな「脂肪酸分析をしたいけれども,どのように扱ったらいいのか?」という疑問やハードルを少しでも解消すべく,マレーシアプトラ大学にて「Lipid analysis using gas chromatography/mass spectrometry: The sample preparation and the identification」とのタイトルのもと,3日間のワークショップを開いてきました.
植物プランクトンの種類によって色が大きく異なっていることが伺えます.元の試料量によっても濃さは変わるので注意.
COSMOSプロジェクトのHPで,本ワークショップが紹介されています.
国際深海科学掘削計画 Exp.359の実施から2年.その間に得られた結果を発表するミーティングがバハマはナッソーにて開かれました.
ゴーグル使って初めてサンゴ礁を覗いた.正直,ずっとみていたかった.また機会があれば,バハマのサンゴ礁で際限なく泳いでみたい.さらには,バハマには,サメも生息している.ガイドさんによると人は襲わないそうな.真ん中にサメ,見えますか?
国際深海科学掘削計画(International Ocean Discovery Program)とは,掘削船を用いて,世界中の海洋の海底から堆積物(底泥)を掘削し,そこから過去の地球史の解明に挑む国際共同プロジェクトです.
今回は,第359次研究調査の航海に参加してきました.第359次航海の研究対象の海域は,インド洋はモルディブ沖.たくさんの有孔虫と呼ばれる炭酸塩基質の殻を持った生物が多く生息し,いくつものサンゴ礁がみられる海域で,白っぽい堆積物が得られます.本航海では,この海域にて,全8か所から海底堆積物が掘削されました.
航海の出発地点は,オーストラリアのダーウィン.その岸に待っていたのが,今回乗船したアメリカの掘削船「JOIDES resolution号」です.この前の航海がオーストラリアの海域が研究対象であったため,今回は,オーストラリアからの出発です.JOIDES resolution号の大きさは,全長143メートルで幅21メートル.札幌テレビ塔が147メートルなので,それが横に倒れたくらいの長さがあります.想像に難くなく,近くで見た感じは,なかなか迫力がありました.掘削船の特徴といえば,「やぐら(櫓)」です.船の真ん中に見える台形の長い鉄塔,これがやぐらです.「温泉 掘削」などのキーワードでGoogleで画像検索しても,同様の建造物が見ることができます.ともすると,このやぐらの役割の目星が付くでしょうか.ここから海底にパイプを伸ばして,堆積物を掘削します.このやぐらの高さは,約60メートル.近い高さでは,ピサの斜塔が55メートル.札幌テレビ塔を横に倒して,そこにピサの斜塔をくっつけるくらいの大きさといえるでしょうか.このやぐらから最長で9000メートルのドリルストリング(掘削するための一連のパイプ) を伸ばせるそうです.本航海の最も最深部は,水深~500メートルの海底表層から~800メートルに至る堆積物が掘削されました.サンゴ礁は浅瀬なので,今回は,他の航海と比べ,長くはなかったです.
アメリカの大型掘削船「JOIDES resolution」.全長143メートル,幅21メートル .最長で~9000メートルの海底堆積物を掘削することが可能!
「Core on Deck!!」この放送が聞こえてきたら堆積物が上がってきた合図.デッキに行って必要な観測用試料をサンプリングしに行きます!
コアを半分にカットする前に,シリンジをつけて,間隙水(堆積物中の泥の中に含まれている水)を採水している様子です.間隙水中の無機成分の組成を分析します.