核酸を化学する

Project 1 

核酸をつかう

核酸医薬品の可能性を広げる化学修飾ってなんだろう?

すべてのタンパク質はRNAから翻訳されて作られます。RNAに介入することができる核酸医薬品は、従来の方法では治療法を開発できなかった難治性疾患に対してもアプローチすることができます。その一方で、核酸を医薬品応用するには特有の課題もあります。

例えば、RNase H依存型アンチセンス核酸。目的の遺伝子の発現抑制するオンターゲット効果の他に、目的外の遺伝子発現に影響を与えるオフターゲット効果があります。この二つの差は、RNase HがDNA/RNA二重鎖構造、特に標準的な二重鎖構造と非標準的な二重鎖構造を認識する差でもあります。

でもそもそもどういった相互作用が重要なんだろう?

例えばリン酸基とカチオン性残基の静電相互作用。リン酸機間距離を変えて比較してみると、意外なことに糖部間距離の方が相互作用に重要そう。ってことは、そういうこと?

そんな感じで、メカニズムや相互作用を構造をみつつ、原理的に安全性を向上させるにはどうしたらいいのか、仮説をもって研究を進めています。

KNOWLEDGEに核酸医薬の一つのアンチセンス核酸の説明とか載せてるので、そちらもどうぞ。研究室学生向けに書いているので、ややこしいけど、、

Project 2

核酸をつくる

最高の核酸化学合成法ってなんだろう?

1955年にジヌクレオチドが合成されてから、数多のケミストが最適化してきた核酸化学合成は、非常に洗練された反応プロセスの一つであると言えます。PCRのプライマーなど、化学合成核酸は日々の研究においてなくてはならないものになっています。

では、どのような核酸も自在に合成できるようになっているのでしょうか?

そんなことはありません。合成可能な核酸が限られているために、核酸のもつ性質を最大限活用できないのが現状です。

たとえば長鎖核酸合成。一個一個の工程で起こる微量な副反応が蓄積して全然合成できません。そこで、微量な副反応を網羅的に解析する系をせっせと立ち上げ、各合成条件で一体何が起こっているかを解析。すると過去に良いと言われていた条件たちにも、意外な副反応が、、、そこから副反応のメカニズムを推定、阻害できる条件を考えて、検証、よりよい合成条件へと進めています。

こんな感じで、今の限界を超える核酸化学合成法の開発して、核酸医薬の可能性を広げるべく研究を進めています。新しいメカニズムの合成も研究したいね。

KNOWLEDGEに核酸合成法の変遷とか少しだけまとめて載せているので、そちらもどうぞ。リン化合物の名前をどんどん出しているから学部生向けではないかも、、