道内山岳域の多点で、気温や地温を観測し、特有の雪氷・生態現象の解明を探求、地元自治体にとってはツーリズムによる地域活性化の材料、行政にとっては森林・水資源の利用・保全といったように多様な主体が多様な課題を設定しています。気温はこれら全てに共通・不可欠な情報ですが定常観測されているのは標高500mより低いところに限られています。私は2014年に道内山岳域を網羅する多地点気温観測を開始しました。厳しい気象条件や動物による機器の破損も少なくありませんが、森林管理署、環境省、文化庁、振興局、気象台、北海道開発局、地元自治体、スキー場管理会社などからごご厚意をいただき観測を継続しています。これを基に道内全域を網羅した高解像度な気温分布図を作成し、植生・永久凍土・雪氷・風穴などの動態を解明していきます。
足寄町の風穴観測サイト、可視画像とそれに赤外線カメラによる温度分布をオーバーレイした。局所的低温部が冷気の吹き出し口
上記の地点で観測された気温(青)と風穴吹き出し温度(赤)の推移。風穴からは冬季短期間を除いて気温をはるかに下回る冷気が吹き出している。