今の世の中、男性も女性も、大人も子どもも、個性や価値観、理想と現実の社会との間で、息苦しさを感じています。
厚生労働省の患者調査によると、令和2年の「気分障害」「神経症性障害」「ストレス関連障害」などで通院する人は、12年前から約2倍も増加しています。社会的・心理的要因で学校に行けない子どもの数も、年々増加しています。私も公務員時代にうつになりました。
ひと昔まえも息苦しさはあったと思います。しかし、その頃と今とでは息苦しさの性質が違ってきています。
「まじめ」「一生懸命」「まわりに迷惑をかけたくない」。こうした個性は貴重でとても素晴らしいものです。しかし、残念なことに今の社会では自分を傷つけることにもつながりやすいものでもあります。
お一人お一人にご自身を大切にしてほしいとの思いから、鍼灸院を「心休院」といたしました。
円は均一な曲線による静かな形ですが、始まりも終わりもなく永遠に続く動的なエネルギーがあります。ありきたりに見える一方で、角が一つもないという点で、他のどんな形よりも個性的です。閉じた形なのに開かれた印象も受けます。禅では宇宙全体と無の両方を象徴するものだそうです。単純ですが目にすると心が落ち着きつく形です。「円滑」「円満」「円熟」どれもいい言葉です。
高邁な理想としてではなく、背反する要素を持ちながら、他とぶつからずに転がることができる「円」をお手本にしたいとの思いから、屋号を「まる屋」といたしました。
受けてくださる方とのご円(縁)を大切にしながら、お一人お一人施術いたします。
東洋の陰陽論では、世界は「陰」と「陽」の2つの性質で成り立っているととらえます。ロゴの2つの円はこの「陰」と「陽」を表現しています。
大切なことは、「陰」と「陽」はそれぞれ反対の性質ですが、決して対立するものではないということです。影があるのは光があるからです。夜が明けるから朝が来ます。幸せを尊く感じるのも、辛いことや悲しいことがあることを知っているからでしょう。
一見対立しているように見えるものには、「夢」と「現実」、「わたし」と「あなた」、「頑張りたい」と「怠けたい」などいろいろあります。「わたし自身」と「わたし」も時には対立して苦しくなることもあります。
でも、夢(目標)は現実の世界でしか実現できません。「わたし」と「あなた」の間で共感できることが必ずあります。また、「わたし自身」が「わたし」の一番の味方であるはずです。
性質の異なる二つのものが重なり合うところから、新しいものは生まれます。