トライアングル
皮膚ー脳ー腸(内臓)はそれぞれ密接なつながりを持ち、体の中でトライアングルを作っています。手術のように体中の臓器に対して直接的な施術は行いませんが、鍼灸治療は皮膚への施術をとおして間接的に働きかけていることになります。
皮膚は「第二の脳」とも呼ばれているとおり、脳と密接な関係があります。
母親のおなかの中で成長していく過程で、皮膚も脳を含む神経も、外胚葉と呼ばれる同じ部分が発達したもので、解剖学的には同じ仲間なのです。
痛みやふれあう感覚は、単に感覚としてだけでなく、感情にも大きな影響があります。例えば親子のスキンシップでは、お互いの脳から幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌されます。これにより、心の安定や幸福感につながることが明らかになっています。
反対に、感情などの精神的活動が生じたとき、体の表面を流れている微弱な電流に変化がおこります。うそ発見器はこの「精神電流反射」を計測しています。なお、精神電流反射には発汗が「関係してる説」と「しない説」の両方あります。
皮膚と腸には「腸皮膚相関」と呼ばれる密接な関係があり、腸内環境の乱れが肌の調子に影響することが知られています。
おなかの具合がすぐれない時、口内炎や肌荒れが起こることは、日常的によくあります。腸には百兆個を超える約1〜2キログラムもの細菌が住みついており、「腸内フローラ」とも呼ばれる一種の生態系を作っています。腸内フローラの乱れがアトピー性皮膚炎や乾癬、ニキビなどの皮膚疾患に関係しているとされています。
反対に、乾癬が大腸粘膜の免疫細胞の機能に悪影響をもたらし、腸内の炎症が悪化しやすくなるメカニズムもあります。
また、生理的なつながりだけでなく、心臓病で左肩が痛くなることがあるなど、内臓とその関連する領域には神経上のつながりもあります。
悩みごとがあると、腹痛や下痢がおきたり、ひどいときは胃潰瘍になることもあります。近年増加傾向にある「過敏性腸症候群」もストレスが原因とされています。
反対に、腸の状態が脳の働きに影響することもあります。
腸内細菌には、リラックス効果のあるセロトニンを、脳内で分泌させる効果があります。そのため、腸内フローラの乱れがうつや不安障害と関係しているほか、性格や行動にも影響を与えている可能性が考えられています。
皮膚だけでなく腸も「第二の脳」とも呼ばれており、脳と腸の関係に関するさまざまな研究が進められています。