大会規定とSOCD

SOCDとは

SOCD(Simultaneous Operation of Cardinal Direction)とは本来のパッドやレバー操作ではありえない「逆方向同時入力をハード側で制御してソフトに渡す機能」を指す。レバーレスにおいて左右同時押し、上下同時押しが可能であるため基板側で同時押しの制御を行っている。挙動は基板仕様に依存する。同時に押す場合以外にも下を押しながら上を押した場合などの挙動についても説明上は同時押しとして扱う。

同時押し時にどちらの入力も無効になる仕様をニュートラルあるいはN、1Fでも後に押した入力が反映される場合を後優先、先に入力したものがずっと残る場合を先優先と便宜的に呼ぶ。先優先モードを格ゲーで使うことはおそらく無い。

入力仕様が変わる関係で簡易コマンドの入力方法や歩きガードやステップの難度が変わるなどゲームバランスや対戦時の読み合い大きく関わる影響を及ぼす。

大会規定とは

格闘ゲームの大型大会においてコントローラーのレギュレーションは厳密に規定されている。同時押し時の挙動についても明記されていることが多い。現在主流となっているスト6においては「CPTルール」が定めらており、2024年1月においては下記のように示されている。

上下及び左右方向の同時入力については下記仕様のみ認める。
・上下方向が同時に入力された場合 両方の入力を維持、もしくは両方の入力を不成立とする必要がある。
・左右方向が同時に入力された場合 両方の入力を維持、もしくは両方の入力を不成立とする必要がある。

わかりにくいが、同時押しが不成立となった場合というのは何も入力していない状態、つまりはニュートラルになる。両方の入力が維持された場合はゲーム内の処理でNにされる。(スト6の場合)
ようするに後優先や上優先を禁止にしたルールが定められている。

これに合わせて市販レバーレスの仕様も上下や左右の同時押しがNになっているものが多い。1作前のストVにおいては逆の仕様である上優先がルールで指定されていたために市場には両方が混在しておりややこしいことになっている。

相反する規定について

全ての格闘ゲーム大会において入力仕様の指定がスト6のCPTルールと同様の上下同時押しニュートラルになっているなら何の問題もないが、他メーカーの作品であるGGSTやGBVSRなどの公式大会では上優先を指定するものが現在でも多い。今後CPTルールに寄せていくのか、過去の流れを汲んでいくのかは不明。

このことから、スト6とGGSTに同じレバーレスで出場した場合に、どちらかで規定違反となり失格となる恐れがある。
また、CPTルールに準拠した仕様で発売したレバーレスをGGSTやGBVSRで使用し大会に出場することができないというパターンもありえる。

どうすればよいのか?

自分のメインとするゲームに合わせた仕様のものを買うこと。Brook基板を搭載した本家のHitboxや自作コンやオーダーメイド品、Haute42を始めとしたGP2040を搭載したレバーレスなどはSOCDの調整が出来るのでゲームに応じて切り替えれば良い。

ぶっちゃけるとここで問題視されているのはRazer Kitsuneだけだ。20241月の時点で、このレバーレスはCPTルールにしか対応しておらず上優先仕様にすることができないようになっている。オンラインだと知りませんでしたで押し通す人がいるかもしれないが上優先規定のあるオフ大会で Kitsune使いが対面に来たらジャッジを呼んで「対戦相手が大会規定違反のコントローラーを使っている可能性があるのでチェックをお願いします」といって失格に追い込むことが出来てしまう。Razerの技術者が有能なら、アップデートでSOCDの切り替え機能がそのうち実装されると思うがはたして・・・
アップデートでSOCDの変更が可能になりました。

GBVS Cygames Cup Special 2024では上優先が指定されているので注意しておこう。
https://gbvs-cygames-cup.jp/jp

Evo Japan 2024のルールは?

https://www.start.gg/tournament/evo-japan-2024-presented-by-rohto/details
https://www.evojapan.gg/rules
上記から確認できる。大会日までに加筆修正される可能性があるので気をつけよう。
記載に矛盾がある場合は、タイトル別規定>全体規定という形で優先される。

GGST.KOFXVを除き、現時点では全体を通しての大雑把なルールだけ定められている感じなのか、保持入力モードだけはやめろと書かれてて、保持モード以外の全設定が可という状況になっている。個別ルール未記載のタイトルで、これが押し通されるのか規定が加筆されるのかは不明。どちらの場合でも、たった1つの大会のためだけに普段のルールから外れたモードでやりこもうという奇特なプレイヤーは居ないと思われるので大きな問題にはならないと思われる。過去大会で使用可能だったものが禁止された場合、被害を受けるプレイヤーが多数現れるだろうが、そこは運営も考慮してくれると思うので今までのもので練習を続けて大丈夫だと思いますが、各タイトルで異なる優先度が定められてしまった場合には、複数タイトル出場を考えているレバーレスユーザーのみSOCDの切り替え方を覚えておく必要ありになるかもしれない。

SOCDの変更方法

後述している後優先と上優先の違いに関して、前者は左右の優先度も含めて変更するもので、それ以外に関しては左右同時押し=Nになると捉えてください。スト6勢は基本的に①にしておけばOKです。上優先にしたい人は②を実施しましょう。
同じゲームしか遊ばない人は1回設定したら忘れていい。複数タイトルで遊ぶ人は切り替え方法を覚えておくかメモしておこう。

Hitbox(本家)

① ◯ボタンを押しながらUSB接続 ニュートラル仕様 (U + D = N、L + R = N)
② ✕ボタンを押しながらUSB接続 上優先 (U + D = U)

Brook基板

上ボタンを押しながらUSB接続 ニュートラル仕様 (U + D = N、L + R = N)
②左ボタンを押しながらUSB接続 上優先 (U + D = U)
左ボタンを押しながらUSB接続 後押し優先
左ボタンを押しながらUSB接続 両方の入力を維持

GP2040/GP2040-CE/Raspberry Pi Pico 

ゲーム機器あるいはPCに接続中に上記の操作を行って仕様変更ができる
HOME + START + DOWN ニュートラル仕様 (U + D = N、L + R = N)
HOME + START + UP 上優先 (U + D = U)
HOME + START + LEFT 後優先 

または、スタートボタンを押しながらPCにUSB接続し
web-configuratorにあるSOCD Cleaning Modeからも設定変更できる。

Victrix Pro FS-12

上 + 下 = ニュートラル (ファームウェア更新後のデフォルト モード)
Victrix X ボタンとタッチ パッド ボタンを 3 秒間押し続けることで、新しいデフォルトの CPT SOCD (上 + 下 = ニュートラル) とレガシー SOCD (上 + 下 = 上) を切り替えます。メニュー バーの LED が点滅して、切り替えが成功したことを示します。

これから買う人は問題ないと思うが、早期に購入した人はバージョンが古くて上記機能が実装されていない可能性があるので公式サイトを見て基板を更新しておこう。

Qanba Obsidianのレバーレス

公式提供のアップデートソフトを起動し、PSボタンを押しながら接続し更新。最新のV1.24バージョンを適用すると上下同時押しNになる。
ダウングレードすることで上優先にできる。上記と同じ手順で進め、最後のところでキーボードの「Shift」キーを押しながら「更新」ボタンをクリックします。


Razer Kitsune 

公式提供のアップデートソフトを起動し、最新バージョンを適用。
②PCモード&ロックモードにした状態で以下のボタン組み合わせで変更可能

    Neutral Mode (Default): Create + PS + Up

    Absolute Up Priority: Create + PS + Down

    Last Input Priority: Create + PS + Right

    First Input Priority: Create + PS + X

    No SOCD Cleaning (PC Only): Press Create + PS + Left