Introduction

　病態分子薬学分野は薬学部・薬学研究科の協力講座として、また医療薬学分野は医学部・医学系研究科の協力講座として、東北大学病院教授・薬剤部長が主宰する研究室です。

　私たちの研究室では、病院の中にある利点を活かし、患者に安全で質の高い薬物療法を提供すること、疾患の病態分子機構を解明すること、疾患の早期診断法や層別化法を確立すること、新たな治療法を構築し、疾患の克服に資することなどを目標に幅広い領域で研究を展開しています。基盤技術として液体クロマトグラフィーや質量分析法を活用しており、タンパク質や低分子代謝物などの生体内分子や薬物の高感度・高精密分析法を構築し、医学系研究科・薬学研究科等の他研究室や大学病院各診療科と連携しながら、臨床化学的研究、分子病態学的研究、臨床分析化学的研究、医療薬学的研究、薬物動態学的研究、などの様々な研究を実践しています。

　当分野では、上記のような研究を通じて、所属学生に医療現場における研究の在り方を理解してもらうとともに、たゆまぬ探究心や理論的な思考能力を身につけてもらうことを心がけた指導を行っています。薬学部薬学科および大学院薬学研究科医療薬学専攻薬学履修課程（博士課程）の学生に関してはPharmacist Scientistの育成を、薬学部創薬科学科および大学院薬学研究科生命薬科学専攻の学生や、医学部および大学院医学系研究科医科学専攻修士課程や医学履修課程（博士課程）の学生に関しては、医療および生命薬科学領域の研究の推進に大きく貢献できる人材を育成しながら、共通して次世代を担う医療人、社会人を育成することを念頭に指導にあたっています。

　当分野は、東北大学病院の薬剤師はもとより、基礎研究、臨床研究の別なく大学院医学系研究科や大学病院の教職員、学生との共同研究も多数実施しており、多角的な視点から研究を展開し、独創性の高い研究成果の創出を目指します。

現在、主に下記のような研究を展開しています。

・疾患・病態の理解を目指すマルチオミクス研究

・疾患バイオマーカーの開発と臨床実装

・薬物および代謝物の血中濃度測定法の開発

・薬物療法の個別最適化に関する研究

・薬物相互作用制御因子の理解と臨床応用

・生体内小分子に関する臨床化学的研究

このような研究に興味のある方は、ぜひ一緒に挑戦してみませんか。お待ちしております。

東北大学病院　教授・薬剤部長　眞野成康