妖刀黄昏/暁

数百年前より伝わる伝説の怪異殺し

・登場 「魔法使いと吸血鬼

同族殺しの怪異として伝承に残る、有名な怪異。数百年以上の歴史があるものの、既に消滅したものとされていた。しかし実際は、赤石市北部に存在する古い木造住宅に安置されてあった――というのが真相である。


姿形は太刀に分類される刀で、その刀身は夕焼けや朝日のように紅い。

刀という形で、実体があるものの、幽霊のように姿を消すことも可能。青咲巴と使い魔としての契約を成立させて以降は、彼の体内に収まる形で姿を消している。

人の姿にもなれる理由は「生前は人間であったが、とある怪異に殺され、その数多の怨念が妖刀にこもったもの」であるから。


【強力な対怪異性能】

怪異を殺すという点において、この妖刀はトップクラスの実力。実体のない怪異でも、斬ってしまえば消滅させることができる。


【強力な契約の呪い】

古の時代、この妖刀はある戦士が所有していたものだった。

それが時雨の一族に継承されたものである。

この怪異は人との契約が絶対であり、現在の契約者が死亡した場合、その血縁者へと契約が強制的に移譲される。

子供がいる場合は子供へ、いない場合には自身の兄弟、もしくは契約していた側の親を経由して、伯父、叔母等に移譲する。

時雨家は代々、この契約が原因で極端に寿命の短い子孫が定期的に生まれている。

時雨雪は、現代における妖刀黄昏の契約者であったが、青咲巴がその契約を肩代わりしたことで呪いは完全に絶たれたことになる。しかし、実際のところ…………。


【暁としての能力】

妖刀黄昏にはもう一つの側面があり、それを暁と呼ぶ。

「今後、もし仮に人間との共存を望む怪異が現われた場合、その怪異から余分なものを取り除き、無害化するための能力」であり、発動するには以下の手順を踏まねばならない。

①その怪異の精神へと入り込み、人間との意思疎通が可能だった場合、交渉を行う。

②怪異との会話が対等に行えた場合、この妖刀をその怪異と契約させる。

③妖刀を自己と完全に定着させることで怪異の能力を弱体化させる。

条件が整った場合、妖刀は怪異と契約し大幅なステータスダウンを受けることとなる。万が一、この状態で契約した怪異が死亡、消滅した場合は再び時雨家がその契約を担うことになり、名称も「黄昏」となる。


本編では、青咲巴の偽吸血鬼としての能力を抑制したものの、実際にどれだけの変化があったのかはこの妖刀にも分かっていない。しかし、アルケー計画における大きな障害であったことは確かだ。


【終章REVERSE/新生】

終章において西浄と交戦。力任せの戦闘に負荷がかかった暁が折れてしまったことにより、青咲巴の偽吸血鬼としての純度は本来のものへと回帰する。

その後、時雨雪が殺害されたことで暁の怪異としての能力はほぼゼロとなり、折れた刀だけが残った。

幻影の魔術師が再び利用できるように二刀に分けて修復し、青咲巴の元へと再び帰ったが、世界樹顕現の際に紡稀へと手渡され、彼女が魔法使いとしての能力を全て引き出した際に、新たな使い魔として新生した。一刀が黄昏、もう一刀が暁となり、刀身も以前と同じ長さまで修復された。