研究会 刊行物紹介
研究会の刊行物、会員の近刊を紹介します。
四方利明 著『学校の建築と教育 学校化・教育改革・境界人』 阿吽社 2018年 2,000円(税抜)
日本全国の校舎を訪ね歩いた著者が、地域住民や廃校舎活用を手がける「境界人」に着目。教育改革の動きに対応しようとする学校建築のありようを批判的にとらえ、「学校化」が進行する窮屈な状況を脱するための手がかりを探る。
小泉友則 著『子どもの性欲の近代 幼児期の性の芽生えと管理は、いかに語られてきたか』松籟社2020年 4200円(税抜)
本書は、近世後期から明治期における、思春期以前の「子どもの性欲」をめぐる学識者の主張を分析し、「小さな子ども」の「性欲」の問題が学識者によって語られていたことを明らかにしながら、「無邪気で無垢な子ども観」と「性的な子ども観」が同時進行的に近代に生じたことを論じています。
近代日本においては、「子どもの性欲」という問題をめぐって、これまで考えられてきたよりも非常に数多くの議論が展開されていました。例えば、植民地主義的思想の影響で「女児の性的早熟」という現象が学識者に着目されていました。「わたしはどこから生まれたの?」という子どもの「誕生に関する質問」が、子どもの「性欲」の発生に関わると問題化されていました。また、近代における世界的な「性教育」論のムーブメントが、日本における「子どもの性欲」をめぐる議論の起爆剤の一つとなったことも、詳細な「性教育」の歴史研究の振り返りの中から明らかにされています。
セクシュアリティの歴史研究、教育史・児童文化史研究に新たな知見をもたらす、著者初の単著です。
広瀬義徳・桜井啓太 編『自立へ追い立てられる社会』インパクト出版会2020年 2000円(税抜)
「自立幻想」を超えて/相互依存のプロジェクトへ
あらゆる「依存」から脱却して「自立」せよと人々を追い立てる社会。アクティブになることを強迫的に求められる主体。現代社会の統治のありようを教育、福祉、労働、地域、メディアの諸領域からオープンに問い、自由を希求する論文集。
執筆=広瀬義徳、桜井啓太、桜井智恵子、迫川緑、岡村優努、濱口一郎、田口康明、元井一郎、四方利明、岡崎勝、西田浩之、伊藤書佳(執筆順)
中西宏次 著『京都の坂 洛中と洛外の「境界」をめぐる』 明石書店 2016年 2,200円(税抜)
坂の街というイメージのない京都だが、洛中と洛外をつなぐ境界として、坂は地理的、歴史的に重要な役割を果たしてきた。
清水坂、逢坂、長坂、狐坂の四つの坂を起点に、豊富な図版とともに京都の街の過去と現在を巡り、新しい歴史像へと読者を導く案内書。
ジョン・L・ルーリー、シェリー・A・ヒル (著) 倉石一郎 ・ 久原みな子 (翻訳)
『黒人ハイスクールの歴史社会学: アフリカ系アメリカ人の闘い 1940-1980』昭和堂 2016年 3,000円(税抜)
アフリカ系アメリカ人のハイスクール卒業率向上に向けた闘いと背後の人種問題を、
歴史叙述を縦糸、計量社会学的分析を横糸に描き出す
土屋尚子「一九二〇年代の中等教育改革論議」小山静子編『 男女別学の時代-戦前期中等教育のジェンダー比較-』
柏書房 2015年 3600円(税別)
※会員の土屋尚子さんが執筆なされています。
戦前の教育制度において性別による差異はどのように作り出されたのか? いかにして当時の学生たちはそれを受け入れていったのか? 包括的観点から俯瞰し、中等教育におけるジェンダーのありようを明確化する。
京都精華大学SEIKAマンガ教育研究プロジェクト 編『マンガで読み解くマンガ教育』阿吽社 2015年 1000円(税別)
※会員の中島勝住、中西宏次、西田亜希子さんが執筆されています。
京都精華大学マンガ学部における、日本初のマンガ学部での漫画家養成のあり方を、書き下ろし漫画と教育学を専門とする教員からの理論的分析をしたもの。大学におけるマンガ教育のこれまでとこれからが示されている。
竹宮惠子先生の書き下ろし掲載!