糸状菌による固体侵襲メカニズムの総合理解
微生物、なかでも菌類(カビの仲間)は一次生産者である陸上植物の分解者として進化し、陸上生態系のなかで最も成功した分類群の一つだと考えられています。この成功の要因としては、菌類が糸状に細胞を連ねた“菌糸”をつくるようになり、単細胞性の微生物が利用しづらい固体基質の内部に侵入して、効率よく栄養素を吸収する能力を獲得したからだと考えられています。私たちは、腐生菌(麹菌)や植物病原菌、木材腐朽菌など複数の菌種を用いて、これら糸状菌の固体に対する付着・認識と侵襲メカニズムを解析し、様々な生態特性を持つ糸状菌という生き様の基本原理と多様性を明らかにしようとしています。