京都府竹野川水系からのシマヒレヨシノボリの初記録
川中太陽・藤井琉穂・井上友喜・国松翔太 .2025.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan,61: 24-32. URL
著者コメント:
川中:丹後半島でドジョウのサンプリングをしていたら、シマヒレヨシノボリが捕れてしまいました。道中、同行者と日本海側の本種の話をしていたこともあり非常にタイムリーでした。丹後半島の魚類相に関してはまだまだ分かっていないことが多いので、これからも発見があるかもしれません。
奈良県大和川水系から得られたナガレカマツカの標本に基づく記録
川口晃志郞・藤井琉穂.2025.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan,61: 1-5. URL
著者コメント:
川口:分布の空白地帯だった大和川水系で大好きなナガレカマツカを捕りました。奈良盆地の淡水魚類はひどい環境悪化で壊滅状態ですが、調査不足のせいもあり現状はあまりよくわかっていません。今回得られたナガレカマツカは外来の可能性もありますが、これからも奈良盆地の魚類相の理解を深めるためにおさかなとりを続けていきたいものです。
佐賀県からの標本に基づくクロホシマンジュウダイの初記録
藤井智畝・藤井琉穂・藤井俊介.2025.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan,61: 1-3. URL
著者コメント:
藤井:南方系魚類であるクロホシマンジュウダイの分布の穴埋め的記録です.採集地である佐賀県東松浦半島付近は対馬暖流の影響を受けやすいので南方系魚類自体は比較的来遊していると思われますが,調査自体が不足している地域ということもあり,なかなか記録として報告されないのが現状です.
The genetic distinctiveness of Lethenteron satoi (Petromyzontidae) confirmed by nuclear SNP markers
Watanabe, K., K. Ikeuchi, Y. Miuchi. H. Sakai&A. Iwata. 2025. Ichthyological Research, doi: https://doi.org/10.1007/s10228-025-01041-y (Sep. 2025).
著者コメント:
三内:本研究により、北海道で新たに見つかったウチワスナヤツメが、ゲノムワイドSNPでも遺伝的に独立したグループとなることがわかりました。ウチワスナヤツメの分布、カワヤツメとシベリアヤツメの関係、ミナミスナヤツメの起源など、未解決の問題も複数浮き彫りになっています。これからの時代、より種の実態を顕にするため、核ゲノムワイドな解析もセットで分類・記載が進められることを期待したいです。
著者コメント:
藤井:ヨシノボリ展の準備でヨシノボリを採りに行ったのですが,普通流れの緩いところにいるチュウゴクスジエビが早瀬脇のヨシ帯から採集されて驚きました.今回は共著者の福家氏の標本と合わせ,福井,山梨からの初記録,および京都府(なんと鴨川)からの標本に基づく記録として報告しています.
著者コメント:
三内:
著者コメント:
川中:京都府淀川水系において約60地点でドジョウ属魚類を採捕し、形態に基づいて在来・外来を判別し、それぞれの生息状況を調査しました。京都盆地においては外来系統が広範囲に分布しており、在来系統の分布は局所的であることが分かりました。ドジョウの放流。ダメ。絶対。今後は、遺伝学的手法も用いて府内における両系統の生息状況をさらに高解像度で明らかにすることを予定しています。
The genetic population structure and diversity of the endangered bittering Pseudorhodeus tanago revealed by SNP markers
Yoshimitsu Takada, Takahiro Morosawa, Masaki Asano, Ryoichi Tabata, Hitoshi Kubota & Katsutoshi Watanabe. 2025. Ichthyological Research, doi:https://doi.org/10.1007/s10228-025-01029-8. (June 2025) .
著者コメント:首都圏を含む関東平野に固有の淡水魚、ミヤコタナゴは、人間活動の影響を強く受けてきた生物の一つです。本種の将来的な存続に向けては、過去の集団構造といった歴史的背景をふまえ、遺伝的多様性や遺伝子汚染の現状を正確に把握したうえで、これらに基づく効果的な保全戦略を構築することが重要です。
和歌山県から得られた南方性テンジクダイ科魚類2種の記録
吉田奈央・大西 遼.2025.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan, 55: 63-68. URL
著者コメント:南方系テンジクダイであるマトシボリ、アカフジテンジクダイを和歌山県から初めて報告しました。今回の2種は別段驚くような種ではありませんが、黒潮次第では和歌山からはびっくりするような種も出現するポテンシャルがあると思うので今後の和歌山に注目です。
佐賀県筑後川水系からの国内外来種ギギの記録
藤井琉穂・藤井智畝・藤井俊介.2025.IchthyIchthy, Natural History of Fishes of Japan,55: 6-8. URL
著者コメント:筑後川で爆増し,アリアケギバチを駆逐しまくっているギギですが,上流のみならずかなり下流のほうまで分布を拡大しているようです.ひとつ南の矢部川水系にはアリアケギバチが多く生息していますので,筑後川の二の舞にならぬことを祈るばかりです(祈っているだけじゃダメですが…).
著者コメント:
吉田:オレ、礫、ホル。
三重県雲出川水系雲出川および岐阜県木曽川水系和良川における国内外来魚オオガタスジシマドジョウの標本に基づく記録
三内悠吾・尾山大知.2025.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan,54: 9–12. URL
著者コメント:
三内:オオガタスジシマドジョウは在来分布域に河川型と遡回遊型の2タイプが知られているほか、このように全国各地の河川から移入記録があります。今後は本種の生態適応に関するゲノミクス研究の展開を構想しています。
著者コメント:
著者コメント:目の前で繰り広げられる驚きの光景に、思わず「uho」と声が出てしまいました。
著者コメント:
吉田:普段太平洋沿岸ではよく見るフグですが、大阪湾奥まで稀に輸送されているようです。黒潮の影響は計り知れません…🐡
Integrative taxonomy revealed a new species of Lefua (Teleostei, Nemacheilidae) from Fukui Prefecture, Japan
Yuta Katayama and Naoto Sawada. 2024. Evolutionaly Systematics, 8(2): 247-260. URL
著者コメント:
吉田:変なオコゼ採れた!と隣から聞こえてきて向かえば変なオコゼがいて叫びました。稀な種であることは一目で察しがついたので調べると和歌山からの記録はなかったため論文にしました。初めて書いた論文の共著者が古くからのTwitterのFF(現在は会の先輩)というのは何だか感慨深かったです。
田邊:夜磯に行きました。行ってみたらツマジロオコゼみたいな変な魚がいたので、採ってみると珍しい魚でした。
海の面白いところは予期せぬ魚との出会いがあることで、今回はそういうお話です。やっぱ、魚はいいな〜と改めて思えました。魚はいいですね……
三内悠吾・岸田岳大・浜橋 丈.2023.Fauna Ryukyuana,68: 13-16. URL
著者コメント:
三内:合宿中に奇跡的に発見できました。網に入ったときは怪我をしたクロホシマンジュウダイかと思いましたが、思いがけないテッポウウオとの遭遇に驚きました。ずきゅーーーーーーーん!!!!!
東條 凜・三内悠吾・大下 遼・大澤遥介.2023.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan, 37: 1-5. URL
著者コメント:
小粥淳史・北尾圭梧・三内悠吾・大貫渓介.2023.魚類学雑誌.doi: 10.11369/jji.22–033 (May 2023)
著者コメント:植生の多い砂泥底でちょくちょく見かけるイメージのあるツチフキですが、京都府内では1984年以来の記録となります。とても身近なフィールドで見つけることができて驚きました。同時期に大阪府内の淀川流域でもツチフキが28年ぶりに確認されており(川瀬ほか,2023)、淀川水系全体でツチフキが増加傾向にあるのかもしれません。
再発見自体は嬉しいのですが、本論文中では、今回見つけた個体の在来性は明らかにできませんでした(少なくとも、国外集団そのものに由来する個体ではない、ということは分かりました)。そもそも琵琶湖淀川水系のツチフキは在来であるとする説と外来とする説があり、鴨川を含めた琵琶湖淀川水系に分布するツチフキの在来性を解明することが次の課題です。
著者コメント:目撃例自体は過去に何度かあったようですが、標本に基づいて報告するのは県内初となります。フエダイ科のようなガチ遊泳魚を水中で捕まえるのはなかなかに骨が折れますね。見かけた個体数自体は結構多かったのですが、結局採集に至ったのは2個体のみでした。まだまだ修行が足りません。
北尾圭梧・井藤大樹.2023.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan, 29: 14-19. URL
著者コメント:東四国で普通に見られるムギツクですが、徳島県では吉野川水系園瀬川が分布の北限とされ、園瀬川を除く吉野川水系には分布していません。そんな吉野川の支流の一つである鮎喰川においてムギツクが確認されたので、現地での採集調査と標本調査に基づいて、吉野川水系における本種の分布範囲と移入年代等の推定を行いました。
著者コメント:いままで見つかっていなかった、京都府の淀川流域からのオオガタスジシマドジョウの記録です。琵琶湖・淀川水系は上流側と下流側で分布する魚が異なり、魚類相の成立を考える上で興味深い事例かもしれません。
著者コメント:実際には200箇所以上で調査してとてもキツかったです。本論文の一部の調査地点は元カノと行って、元カノはとても退屈そうに僕を待っていました。
著者コメント:ナンヨウツバメウオの目撃例自体は瀬戸内海でも度々あったようですが、標本付きの報告は(おそらく)初になります。黒潮で太平洋沿岸に分散する魚の代表例みたいなイメージですが、こんな湾奥まで流されてくるんですねえ。
静岡県大津谷川で初めてとなる国内外来種ズナガニゴイとイトモロコ (コイ科カマツカ亜科)の移入記録
三内悠吾・国松翔太 .2021.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan, 9: 17-20. URL
著者コメント:静岡県大井川水系からの国内移入種の記録です。当該地点は筆者の思い出の川ですが、しばらく訪れない間に移入種が増えたようです。ズナガニゴイに関しては採集された個体以外に大型の個体が見られました。
三内悠吾・国松翔太・奥川陽平・福家悠介.2020.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan, 3: 41-46. URL
著者コメント:シマドジョウの奇形に関する報告です。このタイプの奇形のドジョウ科魚類はまれに野外で見ることができます。本文中のホネホネなシマドジョウたちのX線写真もぜひ鑑賞してお楽しみください。