総長選とは

国立大学の法人化について 

 総長選の仕組みについて説明する前に、国立大学の意思決定機構の現状について確認します。

 2004年の国立大学法人化以降、文科省の「大学のガバナンス強化」政策により、国立大学の意思決定機構はトップダウン化・集権化が進んでいます。

 現在京都大学では、総長以下7名の理事(内2名は文科省・厚労省の出身)からなる「役員会」に大学全般の重要事項に関する決定権が集中しています。

(図は文科省資料「国立大学改革の変遷と現行制度について」より)

総長選とは

「役員会」の長である総長の任期は6年とされています。総長が任命権をもつ他の理事の任期は2年(再任可)ですが、総長が交替する場合、理事も全員交替し、再任はできないこととされています(但し現任の理事が総長となることは可能)。

 京都大学の総長は、学内教員(教育研究評議会評議員)6名、学外委員(現任は門川京都市長など)6名から構成される「総長選考会議」により選考されます。学内・学外から推薦された候補者を総長選考会議が6人にしぼり、学内教職員による「意向調査」(投票)が行われます。その結果を踏まえて総長選考会議が「総合的に勘案」し、総長候補者を1名に決定するとされています。(5月6日の『京都大学新聞』にわかりやすい図が掲載されています)

「意向調査」の投票資格をもつのは、学内の教員(教授、准教授、講師)と課長補佐相当以上の職員に限られます。非常勤(有期・時間雇用)の職員や労働者、そして学生にはそもそも投票権がありません。また日本政府は、2014年の国立大学法人法改定2019年の閣議決定を通じて、学内の投票結果により総長を決定すること自体を否定する立場を強めており、実際これまでに、教職員の投票結果に反する選考が行われた大学や、教職員の投票が廃止された大学すらあります。


 上述のように、現在京都大学の運営における決定権は、大学執行部(役員会)に極度に集中しています。大学で実際に学び活動している個々の大学構成員、その集まりであり従来は大学運営の一端を担ってきた教授会や学生サークル・自治会などの意見や権利は、非常に軽視されやすい状況が続いています。

 そのような中にあって、京都大学の総長が誰になるかは、少なくとも今後6年間の京都大学全体の方向性に大きな影響を及ぼす問題です。にも関わらず、総長はごくごく一部の人間により最終決定され、私たち学生や非常勤職員などに至っては、学内投票にすら参加できない仕組みになっているのです。

 次期総長や京都大学の今後のあり方について考え声をあげていく上では、こうした非民主的な総長選考過程や学内の意思決定システム自体の問題も、避けては通れないと考えます。

2020年の総長選日程

新型コロナウイルスの影響で当初予定は延期とされていましたが、5月29日に、改めて選考日程が公示されました。

6月12日 学内予備投票(教育研究評議会による学内候補者の推薦)

7月3日  第一次選考(総長選考会議による第一次候補者6名の選考)

7月20日 意向調査(教職員による投票)

7月21日 第二次選考①(総長選考会議による面接対象者の選考、再意向調査の要否検討)

    第二次選考②(総長選考会議による面接、最終選考)