現理事会を振り返る

理事会主導で行われた主な出来事

現在、早急に掲載すべきと判断した事項を優先的に紹介しています。紹介、まとめを行ってほしい出来事がある方は、お問い合わせフォームまでお問い合わせください。

2019年NF(京都大学11月祭)規制

-The NF(Kyoto University November Festival) Regulation

京都大学では例年11月にNF(November festival)と呼ばれる学園祭が行われる。11月祭全学実行委員会(全学実)という学生団体によって運営されており、平日二日間と土日の4日間に渡って行われ、毎年多くの人で賑わう。

Kyoto University holds a school festival called NF (November festival) every November. It is run by a student organization called the November Festival All-University Executive Committee. NF is held over four days, and is crowded with many people every year.

  2019年6月、この全学実に川添信介学生担当理事から文書の通達が行われた。その文書は、従来NFに関 連して認められていた以下の事項の禁止を求めるものだった。

・授業時間内における吉田南構内での準備作業

・全ての教室での夜間泊まり込み作業

・NF期間中の会場での飲酒、酒類の販売

特に上記二点については、実質的にNFの期間短縮を伴うものであった。この文書は全学実との交渉などを 経ず一方的に理事から提出されたものであり、学内で反発の声が上がった。この事態を重く見た全学実に よって行われた緊急アンケートには5430人もの京大生が回答し、97%の学生が4日間開催を望む、という 結果となった。こうした結果などを受け、大学は方針を撤回、例年通り4日間の開催が行われることとなっ た。

In June 2019, a vice president, Shinsuke Kawazoe announced the documents to all students. The document requires to ban the following things that were previously allowed in NF:

・Preparation work in Yoshida Minami campus during class hours

・Overnight work in all classrooms

・Drinking and selling alcoholic beverages during the NF period

These substantially requested the NF period was shortened. This document was unilaterally submitted by the vice president without negotiating with all the university students, so the repulsion voices of the students rose. As many as 5,430 Kyoto University students answered the urgent questionnaire conducted by the All-University Executive Committee which seriously considered this situation, and 97% of the students wanted to hold NF for 4 days. In response to the result, the university authorities withdrew its policy and NF was held for 4 days.

  禁酒については全学実にて今年度に限りNF期間内の学内全面禁酒が決定されたが、その宣言文の採択に際 し、「大学当局の介入の影響が存在した」「容認できない行為である」と意見を表明した。

All-University Executive Committee decided to prohibit all alcohol in the university during the NF 2019 period. When the declaration was adopted, the Executive Committee expressed ”there was the influence of the intervention by the university authorities” and ”it is an unacceptable act”.

タテカン(立て看板)規制

-Tatekan (signboard) Regulation

 京大のキャンパス内および外壁には多くの立て看板が設置されていた。部活・サークルの宣伝、学生による 意見の主張から教職員による労働組合の物まで、あらゆる種類のものが建てられていた。立て看板は情報メ ディアとして大きく活躍し、京大の風物詩としても享受されていた。

Many tatekan (signboards) were installed on the campus and outside walls of Kyoto University. Various kinds were installed, from club activities, advertisements, and students’ assertions of opinion to Kyoto University Labor Union’s. Signboards played an important role as information media and were enjoyed as a feature of Kyoto University.

 2018年5月、「京都大学立看板規程」が運用された。この規定により道路に面した部分での立て看板の設置 が禁止され、キャンパス内部においても大学の公認団体のみが、限定された枚数を大学の指定した場所に限 り設置を認められるのみとなった。京都大学は京都市の景観条例による規制を理由に挙げているが、少なく とも京都市がキャンパス内の立看板の撤去を求めた事実は無い。各団体がこの規制について抗議の声を上げ ているが、役員会は学生との話し合いには応じない姿勢を見せている。

In May 2018, the ”Kyoto University Signboard Regulations” were put into operation. This regulation prohibits the installation of signboards on the part facing the road, and even within the campus, only the official organization of the university is allowed to install the limited number in the place designated by the university authorities. Although Kyoto University cites the regulation by the Kyoto City Landscape Ordinance as a reason, there is no fact that Kyoto City has requested the removal of the standing signboard on the campus. Although many groups have been protesting about the regulation, the Board of Executive Directors is unwilling to discuss this problem with students.


参考: 京都大学立看板規定 (http : //www.kyoto−u.ac.jp/uniint/kitei/reikihonbun/w002RG00001405.html )

Reference: Kyoto University Signboard Regulation (http : //www.kyoto−u.ac.jp/uniint/kitei/reikihonbun/w002RG00001405)


2019年9月12日学生処分


2019年9月12日、京都大学は「学生の懲戒処分について」という文書を公式サイト上で公開し、3人の学生に対して無期停学処分を下したことを公表した。この処分について京大当局は、当該学生が「学生の本分を守らない」行為をしたためだと主張した。

この処分については多くの団体、学生、教員から疑念、抗議の声が上がっている。「学生の本文を守らない」という理由があいまいであるという声や、そもそも学生など当事者から意見を一切聞くことなく処分がなされていることについても指摘がなされている。またこれらの処分の原因になった2018年10月18日の出来事についても、警察を大量に導入した上で行われたことが問題視されている。(大学への警察の侵入は極力行われないのが望ましいとされている。学問の自由の内容の一つである「大学の自治」を守ために、大学内の物事について国家権力からの干渉を排除する必要がある。) 加えて学生処分においては、規程の策定権限を持つ役員会が処分においても強い権限を持っており、現に処分を濫発していることも問題とされている。


参考:学生の懲戒処分について(2019年9月12日) ー 京都大学(http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/events_news/office/kyoiku-suishin-gakusei-shien/kosei/news/2019/190912_1.html)

吉田寮生に対する退寮通告と明け渡し訴訟


京都大学の学生寮である吉田寮は、吉田南キャンパスの南部にあり、福利厚生施設として機能している。2015年には新棟を建設し、さらに多くの学生を受け入れることが可能になっていた。


2017年12月19日、京都大学は「吉田寮生の安全確保についての基本方針」を発表し、2018年9 月末日をもって吉田寮での寮生の居住を終了することを宣言した。これに対し吉田寮自治会は、自治会との協議なく決定された役員会の一方的な方針であるとしてこれに抗議した。また、教員有志や多くの学生団体など、学内外から抗議の声が上がった。なお、2015年11月に現・学生担当理事である川添信介氏が就任して以降、従来行われてきた学生担当理事と寮自治会との公開の場での話し合いは拒否されている。

2019年4月26日、京都大学は、退去期限以降も居住を継続している寮生の一部に対し、京都地方裁判所に明け渡しを求める訴訟を提起した。吉田寮自治会はこれに抗議、多くの教員、学生も抗議の声をあげた。また、この訴訟は京都大学が学生を相手取って行った初めての民事訴訟であり、その点からも批判が集まっている。


参考: 吉田寮生の安全確保についての基本方針 ー 京都大学 (http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/events_news/office/kyoiku-suishin-gakusei-shien/kosei/news/2017/171219_1.html)

: 吉田寮公式サイト - 2017年12月26日: 「吉田寮の安全確保に対する基本方針」に対する抗議声明 (https://sites.google.com/site/yoshidadormitory/吉田寮資料集/seimei/20171226seimei?authuser=0)

副学長情報公開連絡会の実質的廃止


副学長情報公開連絡会制度の実質的廃止

「情報公開連絡会」とは、1998年から18年に渡り行われてきた、京都大学の情報公開制度です。1997年に京都大学で、学生に係る事務組織の改編が学生不在のまま決定されたことについて、情報公開が不十分であり改善が必要であることを井村総長(当時)が認め、今後公開の場で連絡会を実施する旨が約束されました。

 連絡会は毎月一回開かれ、学生担当副学長が公開の場(学生部会議室等)で学生などに対し、学内の会議体の議事内容を報告し、質問に応えていました。重要な点は「大学内で検討中の(=まだ決定していない)情報を開示していた」ことです。学生に影響を与える問題について決定以前に知ることで、不十分ながらも学生が大学の決定プロセスに関わることが可能になっていました。

 現学生担当理事・川添信介氏は、就任後2016年1月の情報公開連絡会で、連絡会を廃止する意向を示しました。そして廃止に反対する学生との話し合いの機会も持たれないまま、連絡会はその後「諸般の事情により中止」とされ続けています。

 川添理事は、ウェブサイト上で学生の質問に答える「学生意見箱」や広報物「Campus Life News」の発行を開始し、これらにより連絡会の役割は代替されるとしています。しかしこれらは大学が決定した事項のうち、理事が選択したものを広報したり部分的に質問を受け付ける、というものであり、決定以前の情報を含む全議事を公開しその場で質問を受け付ける連絡会の性質が代替されているとは言い難いでしょう。


参考 京都大学新聞 情報公開連絡会開かれず(http://www.kyoto-up.org/archives/2379 )