学習心理学の裏口

更新履歴

 2022/4/24 「the great stygian abyss」に「第1層 魂の計量」を公開しました

 2022/3/5資料室」に講義資料追加しました 

 2022/3/2 「学習曲線」を公開しました 

 2022/2/24the great stygian abyss」に加筆し、「随伴性理論」を公開しました

 2022/2/21刺激般化」を公開しました 

 2022/2/19 「学習の定義」を公開しました 

 2022/2/16 サイト作成開始

はじめに

 このサイトでは、学習心理学、特に行動論的な学習心理学について予備知識ゼロからいろいろな理論や現象、論文を紹介していきます。そのなかで、形式的な(あるいは数理的な)理解を助けるために、適宜数学的な背景についての説明を加えます。多くの大学ではいわゆる文系学部に心理学科が設置されていることを考え、数学についての前提知識は基本的に必要としません。僕も数学は全くの不得手で、高校数学も怪しいレベルなので、極端な話、四則演算ができれば読めるような構成を目指します。したがって、本ホームページの内容だけで高度な数学を理解することは期待しないでください。あくまでも形式的なものの見方に慣れることが狙いです。より高度な数学的背景について興味が出てきたならば、日本語で読める教科書やYoutubeの動画などがうんざりするほどありますので、そちらをご覧ください。

 古い(といっても1970年代あたりの)心理学の本を見ると、物理学や化学のようには直接観察することのできない「こころ」というものをどのように測定するか、どういう形式的なロジックがそれを支えているか、定量的なデータが得られたとしてその背景はどのように数理的に記述できるかといった記述がたくさんあります。もちろん、当時としてもそれがスタンダードだったわけではないでしょうが、2022年現在の(少なくとも日本の)心理学業界においては、その多くがロストテクノロジーになっているように思われます。これはあまりにももったいないことです。周辺領域を見ても、機械学習技術の進歩をはじめとして数理的手法の重要性は増すばかりのように見えます。

 そうは言っても、「数学の勉強をしろ」というだけで問題が解決するわけではありません。心理学者は心理学者であって、知りたいことや解きたい疑問は心理学のなかにあります。それとは独立に数学だけを取り上げても、あまりピンとこないというのが正直なところではないでしょうか。別に数理的なアプローチを勉強しなくとも、知りたいことにちゃんとした答えが出せるのならば、無理に時間をとって数学の勉強をする必要はとりあえずはないはずです。なので、あくまでも数理的アプローチというのは、心理学者が知りたいことを知るための手助けになるように使えればいいという程度のものです。こうした理由から、本サイトでは「学習心理学のなかで何が知りたいのか、何がわかるとうれしいか」という問題設定を行ったうえで、その目的を達成するために数理的な見方を導入するという体裁を採る予定です。

 本当は、心理学者は既存の数学で使えるものは使いつつも、心理学が対象とするものを扱うための新しい数理的方法を作り出していくのが理想なのだろう、と思います。公理論的心理測定の基礎やあるいは因子分析など、前例もあります。これは僕の能力を明らかに越えたことですが、「知りたいことを知るために使えるものは何でも使う、ないなら作る」という姿勢は忘れないようにしたいです。

お断り

 記述の内容についてはできるだけ正確になるよう気を付けていますが、筆者は学習心理学を専門としてはいるものの、数学についてはド素人です。厳密さについてはあまり考慮できていません。誤りなどがあればご指摘ください。適宜修正します。

 本サイトは、「走りながら考える」という方針で作成していきます。なので、誤りの修正以外にも、議論のわかりやすさのために後から情報の追加や削除を行うことがあります。サイトそのものが実験的な試みなのでご了承ください。

 また、このサイトはいわゆる公認心理師カリキュラムに対応しているわけではありません。資格試験のための勉強には適さないかもしれません。教科書的な意味で学習心理学(学習・言語心理学)を学びたい方は、別途成書をあたってください。

 本サイトに関するご意見などがあれば、メール(sawa[at]psy.senshu-u.ac.jp)かツイッター(@kosukesa)などでご連絡ください。