FAQs


Q: 図書館情報学を学んだことがありませんが,ついていけますか

A: 図書館情報学の専門用語が出てくることは確かですから,ある程度は参加者が自分で調べたりする必要があります。下に参考文献を挙げておきます。しかし,ここで読むものは,通常の図書館情報学ではなくて,その原理論に遡ろうというものなので,そういうところに知的関心があれば大丈夫だと思います。


<参考文献>

日本図書館情報学会編『図書館情報学事典』丸善出版, 2023.

日本図書館情報学会用語辞典編集委員会編『図書館情報学用語辞典』第5版, 丸善出版, 2020.

デビッド・ボーデン & リン・ロビンソン(田村俊作監訳,塩崎亮訳)『図書館情報学概論』第2版(記録された情報の力) 勁草書房, 2024.


Q: 英語文献を読むのはしんどいのですが

A: 英語ツールを読む以上,ある程度の英語の読解力は必要です。実はAI発展のおかげで,英語の専門論文を読むのはだいぶんと楽になっています。Google Chrome他のブラウザでは英語の本文に即座に日本語訳を付けてくれるので日本語文献のように読めます。もちろん,誤訳や多義的用語の解釈の間違い,複雑な構文のとりちがいなどの問題はありますが,専門文献ほど用語が一意に決まる可能性が高いことは確かで,文脈が把握できていれば理解は可能です,IEKOにChromeの和訳を使ってみての感覚で,7〜8割くらいは正しい訳を出していると感じられるので,あとは報告者による報告や議論によって補うことができます。


Q:参加の仕方についてですが,議論に加わらずに教材となるドキュメントを読み,やりとりを視聴するだけではだめですか。

A: これはもちろん可能です。一回の研究会は2時間だけなので,リアルタイムで議論する時間はかなり限られ,希望者全員が発言することも難しいかもしれません。そのために,事前,事後にやりとりができるようなツールとしてメーリングリストを用意し,KORG_Jへの参加で効果が得られるようにしています。ただ,適宜このHPでも情報を補っているので,参加しなくとも議論を知ることもできます。

Q: 生成AIについて学べますか?

A: この研究会では学べません。なぜなら,生成AIツールは集めたデータの処理と提示の方法が隠されているからです。これまでの知識組織論は知識の組織化がオープンな環境にあることが前提です。ただし,将来的には生成AIについてIEKOで新項が書かれる可能性があるので,出たら取り上げることは可能です。

(追記)アリゾナ大学名誉教授Martin Frickéは,IEKOにBoolean logic,Knowledge pyramid: the DIKW hierarchy,Logical divisionといった項目を書いている人です。この人がオープンデータのテキストブックとして,Artificial Intelligence and Librarianship - 3rd Edition(2024)を公開しており,日本語の全訳版があります


Q: 研究会のHPタイトルの背景写真の人物は誰ですか?

A: 国際十進分類法(UDC)の開発者,国際ドキュメンテーション運動の創始者ベルギー人ポール・オトレ(1868-1944)です。この人物は20世紀前半に知識組織論の基礎をつくり,それに基づいた実践活動(ドキュメンテーションと呼ばれます)をしました。その活動は知識組織化を通じて,ブリュッセルやジュネーブに世界的な知のサンクチュアリをつくり世界平和を実現しようとするものでした。そうした実績は,日本では,図書館情報学や建築史のような一部の領域でしか知られていませんでしたが,アレックス・ライト(鈴木和博訳)『世界目録をつくろうとした男:奇才ポール・オトレと情報化時代の誕生』(みすず書房, 2024)が出て,その活動の全体像が分かるようになっています。この本によると,20世紀後半の情報検索技術やインターネットのハイパーリンク構造などはオトレが予見していたということです。