活動内容

子どもとメディア信州 設立の理由

スマホ、パソコン、タブレット・・・。子どもたちが電子メディアに当たり前に触れる現代。多くの人とつながることができ、なんでも調べられる利便性は子どもたちの生活を一変させました。しかし利便性と同時に、非常に多くの課題も出てきました。家庭はもちろん、学校現場においても「デジタルメディアに関わる心配」が各所で叫ばれ、しかも、新しい技術と共に、多様化・複雑化していき、技術面、対人面のみならず、生活面、経済面、健康面などの新しい課題も顕著化してきました。

 この会の役員は、令和元年の本会設立以前より、それぞれが感じた危機感から、各自で情報モラル学習や講演会を行い、子どもたちへの指導をしてきたものばかりなのですが、これだけデジタルメディア問題が大きく複雑化してくると、個人の活動ではどうしても限界があります。口コミで受ける「情報モラル講演会」への依頼も激増の一途をたどり、通常業務をしながらの個人レベルではとても対応できなくなってきました。

 しかし、依頼があるということは、それだけ多くの学校で需要があるということでもあります。必要があるのならば、そのために何か動ける方法がないものか・・・。

 そこで、立ち上がったのが本会です。役員が長野県内各地で、各自の危機感・使命感で行っていた活動を組織化し、活動に一貫性を持たせ、より的確で、より充実した情報リテラシー教育の推進のための組織を目指して発足しました。令和元年(2019年)4月のことです。

 

子どもとメディア信州の活動内容

1 情報モラル講演会・学習会の実施

長野県内の小学校、中学校、高校など学校からの要請により、経験豊富な講師が子どもたちに、丁寧に語り掛ける「情報モラル講演・授業」を行っています。聴衆となる子どもたち全員から聞いた「メディアアンケート」(下記参照)をもとに、実態に即した内容や最新のネット事情を、発達段階に応じ、少しでも心に残る講演を心掛けながら話をしています。

 対象は「小学校」「中学校」の児童生徒向けが圧倒的に多いのですが、学校向けであっても「職員向け」「保護者向け」「地域の方向け」など、子どもたち以外の依頼も多くあります。また「幼稚園・保育園の保護者や職員」、「高校の生徒や職員」、「特別支援学校の児童生徒や職員」などからも依頼があり、対象に合わせた内容を日々研究しつつ講演を行っています。

 ちなみに代表の松島(元中学校校長)はのべ700回以上、副代表の小川(元市教委指導主事/現小学校教頭)はのべ400回以上、20年に渡って、長野県内各地に出かけ講演を行ってきました。もちろん他のメンバーも、様々な団体から依頼を受け、長野県内各地、時には県外まで行って講演活動を精力的に行っています。令和4年の実績では、コロナ禍でありながら年間200回以上の講演依頼に対応しました。


左は、当団体のメディアインストラクターによる長野県内小学校での

メディアリテラシー学習時における講師活動の様子です。

長野県内のいくつかの市町村からは、市町村単位での小/中学校のメディアリテラシー

学習の講師の専任を受けております。

2 子どもたちのメディアとの付き合い方「メディアアンケート」の実施

長野県教育委員会をはじめ、長野県内の市町村教育委員会や校長会と協力して「メディアアンケート」の実施を進めています。

 対象はアンケート実施を希望する市町村の小学校3年生から中学校3年生までの児童生徒の全員。10問程度の質問を行い、学校はもちろん、教育委員会や校長会の協力により、集計・分析を行っています。

特徴は、

①市町村教育委員会などとの協力により、対象管内の全学校で行う調査である事。

 (➡抽出校での実施ではなく、管内全校でのデータを集めることにより正確な実態把握ができます)

 

②校内でも、サンプリングではなく対象児童生徒全員が回答する「悉皆」調査である事。

 (➡特定の児童生徒ではなく、学校の全員が回答するため、正確な状況把握ができます。)

 

③この調査結果をもとに、本会のインストラクターが、各校で具体的な事例を用いた情報モラル学習を行う事により、

 このメディアアンケートが「実態把握のための単なるアンケート」ではなく、「現状を少しでも改善するための具体的

 な資料」としての意味を持つ事。


 当団体が行うアンケートと、一般的なアンケートが絶対的に違うことは「情報モラル学習を行うための実態把握調査」ということに重きを置いていることです。「実態を調査するだけ」という、いわば受け身の活動ではなく、「子どもたちの情報リテラシー能力を少しでも向上する事を目的とした講演を行う為の実態調査」という、能動的な・アクティブに働きかけるための実態調査、という位置づけになっていることです。

 2022年度からは長野県の全ての自治体にアンケートを行っていただいております。その対象は優に10万人を超え、全国でも例がないビッグデータとなっています。子どもとメディア信州のインストラクターは、県内の小中学校で講演会・学習会を実施するとき、その学校のデータを使って話をします。自分の学校のデータなので子どもたちの関心がとても大きく、自分の課題としてとらえやすくなります。


※:2022年度の数値。調査対象の人数は調査実施時の生徒数に依存する為、年度毎に増減があります。

3 メディアインストラクター養成講座の実施

役員が講演活動するのみならず、子どもたちの情報リテラシー能力向上のための活動に一緒に参加してくれる大人の協力者を得たいと考え、設立当初の昨年度より「メディアインストラクター」養成講座を行っています。1年間にA/B/Cの計3回(のべ6日間)の講座を行い、メディアインストラクターとして必要な、知識、プレゼン作成の知識、実際のプレゼン作成演習などを行い、学んでいってもらっています。

(A/B/Cの全ての講座を受講→認定に合格しないとメディアインストラクターとして認められません。)

参加者は、小中学校の先生、保健室の先生、幼稚園・保育園・高校の先生に加え、IT関連企業の方、ICT支援員の方、教育委員会の方、塾の先生、主婦の方、児童・生徒の保護者、会社員の方、そしてお医者さんや弁護士の方等、多種多様な職域の壁を越えてご参加いただきました。

また、毎年開催する度に、県内外の関係者様や、志を同じくする方々、これから同様の組織を立ち上げようとする方々からも関心を頂き、その活動は確実に広く根を張り、枝を伸ばし、子ども達を救う力を大きくしています。

2019年度から2022年度までで、合計90名の卒業生を育ててまいりました。

(2023年度に於いては、合計100名を超える予定です!必ずしも人数の問題ではないですが、同じ志を持つ仲間が、同じ目的に向かい、その多種多様な職業・得意分野の特性を生かし、包括的にアクションを起こせるという事実は非常に大きな意味を持つと考えます。)

様々なお立場、経歴をお持ちなのですが、同じ「子どもたちをネット被害から救いたい」という熱い思いのもと、それぞれの経験を生かしたプレゼン資料を作成し、切磋琢磨する様子は本当に素晴らしいものでした。様々な方がそれぞれの視点で課題を語っていく姿は、お互いに参考になり非常に良い刺激を与えてくれました。受講生の層の厚さも、この研修会の魅力だと感じました。ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

メディアインストラクター養成講座

 子どもとメディア信州では、毎年、小中学校や高校、園、保護者や一般市民の方に向けた学習会や講演会の講師を務められるメディアインストラクターの養成をしています。

 2022年度も6日間の研修を経て、新たに20名のインストラクターが養成されました。今後、経験を積んで、各地で講演会活動が始められます。

養成講座では、長野県内10万人を超える小中学生の実態アンケートをもとに、子どものスマホやゲーム機といった情報端末への関わりの現状を把握すると共に、過剰な利用による依存症・健康被害や、数々のネットトラブル、ネット上の誹謗中傷・ネットいじめ等について学びます。

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2023年度-養成講座A(10月開催)の様子です。

久しぶり(実に3年ぶり)の全面対面での講座です。

皆さん真剣に説明を聴いています。

ネットを使った配信講座とは違い、肌感覚で物事を捉えるのが大切なのは

大人も子どもも一緒です!



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続いて養成講座B(12月開催)の様子です。

今回の講座では性被害の事や著作権法、ゲームの事や実際の教育現場で

起きているネットトラブルの実情など、2日間本当に多岐に渡る内容の

講習会でした。

受講生の皆様、本当にお疲れさまでした。