基本情報
活動日時:毎週金曜日
コース幹事:藤原
レベル:入門〜
場所:早稲田大学学生会館7階E706(オンライン併用)
法哲学、という言葉はあまり耳馴染みのないものかもしれません。法哲学とはひとことで言えば、法の前提にあるものを問う学問です。法哲学な問いの例をいくつか挙げてみましょう。法と法でない規範を分つものは何か。幸福の増大と自由の擁護が対立するとき、法はどちらをどの程度優先すべきか。我々は法に従うことそのものへの一定の義務を有するか。
一つ目の問いは、法哲学の中でも法についての諸概念について考察する法概念論という分野に属するものです。二つ目の問いは、あるべき法を構想する法価値論(正義論)という分野に属するものです。そして三つ目の問いは両者にまたがるものと言えます。このような、現にある法の前提について、そしてあるべき法について考えを巡らせることは、法学者や法実務家を志す人たちはもちろん、政治に関心があるすべての人にとって有用であると考えます。
本コースでは、法哲学の文献の輪読を通じて、法哲学に関する基本的な知識を身につけるとともに、法哲学的な思考を養うことを目指します。一冊の本を一学期かけて読み進めるため、負担はさほど大きくありません。任意参加のサブコースも含め、年間4冊程度の文献を読むことを想定しております。春学期には法哲学の概説的な教科書を読むため、事前の知識がなくとも問題ありません。ぜひ積極的にご参加ください。
・(秋学期)デイヴィッド レオポルド ,マーク スティアーズ 編著『政治理論入門-方法とアプローチ- 』(慶應大学出版会、2011年)
本書は政治理論とありますが、政治学に限らない規範的な学問全体に通じるテーマを扱った本です。規範理論の全般の方法論について深く学んでいく予定です。
この本は各章がそれぞれ比較的に独立した内容で構成されています。その時々の勉強会で扱う章を読むだけで、その会のテーマがわかりやすいので途中からの参加もお勧めです。
・(春学期)瀧川裕英,宇佐美誠,大屋雄裕 『法哲学』(有斐閣、2014年)
この本から始めることで、初心者の方でも法哲学に入門することができます。
「法哲学」コースではありますが、政治哲学に興味がある方にもお勧めです(例えば、「第一部 正義論」だけでも政治経済学部必修科目「公共哲学」の内容をかなりカバーしています)。
①瀧川裕英、宇佐美誠、大屋雄裕『法哲学』(有斐閣、2014年)
活動時期:2024年5月1日~2024年8月31日
②井上達夫『増補真相版 共生の作法-会話としての正義』(勁草書房、2021年)
活動時期:2024年10月28日~2025年2月4日
会員コメント:本書では、何か特定の規範理論(e.g., 功利主義、リバタリアニズム、現代的リベラリズム)を提示するというよりも(最後に副題にもある「会話」としての正義を示しているが)、規範理論についての議論を行うための土台、前提の方に力点が置かれ、詳細に検討がなされている。具体的には価値相対主義の棄却、エゴイズムとの対決、普遍化可能性の重要性の主張などである。ひとつ注意点があるとすれば、本書におけるリベラリズムは広義のそれであり、ロールズ(アメリカにおける左派)的な意味には限定されず、リバタリアニズムや功利主義も含むものである。(By K)
③H.L.A.ハート著、長谷部恭男訳『法の概念 第3版』(ちくま学芸文庫、2014年)
活動時期:2025年3月4日~3月31日
これまで使用した文献の一部を紹介します。
出来るだけ参加者の希望に沿うスタイルで進めていきたいと考えているので、活動の進め方や文献に関する意見は気軽にしてください。
ハート『法の概念』
井上達夫『共生の作法』
安藤馨『統治と功利』
井上彰『正義・平等・責任』
宇佐美・児玉・井上・松元『正義論: ベーシックスからフロンティアまで』
佐藤岳詩『メタ倫理学入門』
瀧川編『問いかける法哲学』
W.キムリッカ『現代政治理論』
瀧川 裕英, 宇佐美 誠, 大屋 雄裕 『法哲学』