遺伝性自己炎症性疾患の病態解明
自然免疫に関わる遺伝子の病的多型により炎症病態を呈する疾患群として、近年「自己炎症異性疾患」という概念が提唱された。疾患に関わる遺伝子多型が同定されてはいるものの、その遺伝子多型が炎症を惹起する機序については十分に分かっていない。教室では、自己炎症性疾患でみられる遺伝子多型を導入した疾患モデルマウスを用い、病的多型による炎症誘導・遷延化機序を解析している。現在までに、自己炎症性骨疾患Cherubism、またTNF受容体関連周期熱症候群の解析を行っており、その他にも新規自己炎症性疾患の遺伝子解析を進めている。
炎症性皮膚角化症「乾癬」とメタボリック症候群・脂肪肝炎との炎症連関の解明
炎症性皮膚角化症「乾癬」の患者では、肥満症/高脂血症/脂肪肝炎などの合併が多いことが知られている。当教室では、それぞれの疾患のモデルマウスを用いて、それらのメタボリック症候群関連病態がどのように皮膚の炎症を悪化させるか、また逆に皮膚の炎症がメタボリック症候群関連病態をどのように悪化させるかについて解析している。現在までの解析でメタボリック症候群の病態ごとに異なる炎症惹起機序が活性化していることが分かり、その知見は皮膚を含む各種炎症病態に対する個別化治療(Precision medicine)への応用が期待される。
サイトカインコンポーネントEBI3の免疫・炎症疾患における役割の解明
EBI3はヘテロダイマーサイトカインのコンポーネントで、p28、p35、p19と結合し、それぞれIL-27、IL-35、IL-39として機能する。EBI3の各種免疫・炎症疾患における役割を明らかとするため、当教室ではEBI3変異マウスを用いた解析を行っている。EBI3を標的とした新規治療戦略への応用が期待される。