あなたは犯人ではありません
ユウト、タクト、アキト、ヒロトは同世代の花火師だ。私は紅一点で、容姿端麗と持て囃されている。だが、私には好きな人がいる。
タクトはリーダー的存在で、アキトはユウトと仲が良かった。ヒロトは誰とでも仲が良い印象だった。
今宵は2000年8月18日の盆祭り。去年は殺人事件があり、中止になった。花火連盟はその事件の調査をしているが、進展がなく、打ち切ろうとしている。
私が好きな人はヒロト。今宵、ヒロトに告白しようと思う。くじ引きの一等賞がヒロトの好きなキャラクターのぬいぐるみなので、それを当てて、渡して、告白するつもり。
私たちは、花火装置の最終点検を終え、露店へ出向いた。露店は十字の道路に沿って並んでいる。花火装置がある北方面の最奥から中央に来た私たちは、ここで散開することにした。私は西方面へ、くじ引き屋を目指した。
運が良かった。くじ引き屋で一等を引き当てた私は、ヒロトを探しに東方面に向かい、射的をしているヒロトを見つけた。ヒロトが大好きなぬいぐるみを贈り、ヒロトに告白した。だが、告白は実らなかった。「自分に自信がないから……イチカを幸せにできる自信がないから」とヒロトは言った。そんなヒロトを私は好きになったのに。
私とヒロトは沈黙していた。それからしばらくして、ヒロトは私にぬいぐるみを返し、中央に向かって去った。私はヒロトと逆の東方面の奥に足を向け、東方面奥にあったお面屋で、狐のお面を買った。お面をつけていれば、誰にも涙を見られないし、私自身も現実を見なくて済むような気がした。そういえば、去年はプリティキュアのお面が売られていたような気がする。今年は売られていないみたいだ。
お面屋の近くでお面を被り、休憩している。返されたぬいぐるみは近くのゴミ箱に捨てた。
顔は赤いだろうが、涙は引いてきた。気分転換に盆祭りを楽しもうと思い、中央を経て、北方面の道中にあるりんご飴屋に向かった。行列で狐のお面を外して並んでいると、アキトと出会った。アキトがソフトドリンクをくれた。小さな優しさが心に沁みる。一緒に行列に並んでいると、割り込まれることもなく、すぐに買えた。
花火大会の時間が迫ってきたので、再集合するためにアキトと一緒に中央に向かった。しばらくして、ヒロトを除く全員が集合したので、そのまま花火装置の場所へ向かった。そこで、故障している花火装置とヒロトの死体を見つけたのだ。
ヒロトを殺害した犯人を見つける
花火装置を壊した犯人を見つける
(※以上2つは同一犯の可能性もあります)
ヒロトに振られたことを秘匿する