あなたはこの事件の真犯人ではありません
この街の空には人口雲が浮かんでいる。私はそれを製造している工場の従業員だ。サクラはそこの社長だ。企業秘密だが、サクラがいないと工場が止まってしまう。ナオトとアンジェは同じ従業員だ。ナオトは刀鍛冶も兼業している。
100年以上前から伝わる「白の経典」というルールがある。人口雲製造は最上位の職務とされている。しかし、その実態は過酷な労働で、いつも癒しを求めている。
街の構造はシンプルだ。人口雲工場と日時計が一本の道で繋がり、その途中に民家がある。事件の第一発見者の住民は朝まで外で飲み明かし、その間誰も見ていない。そのことから、犯人はその住民より日時計の近くに住んでいるサクラとナオト、タクミの誰かと結論づいた。アンジェの家は最も日時計に近い。
サクラとナオト、タクミの家は近所で、玄関の扉が開く音が聞こえる。
住民は帯刀しており、ほぼ全員が剣豪だ。アンジェは数年前、冒険家としてこの地を訪れ、今も滞在している。
【事件発覚前日の朝】
朝早くに目覚め、窓から外を眺ていた。すると、アンジェが膨らんだ赤いリュックを背負い、人口雲工場へ歩くのが見えた。しばらくすると、アンジェが戻ってきて、ナオトの家に立ち寄った。
身支度を始め、出勤した。同僚曰はく、いつものようにサクラは一番早くに出勤していたようだ。もはや会社内の常識になっている。ナオトは仕事に遅刻してきた。
【事件発覚前日の昼】
仕事の昼休憩開始直後、ナオトが声をかけてきた。刀の無償手入れをしているというので、愛刀「雲母剣(きららのつるぎ)」を渡した。また、休憩中にサクラとアンジェが小声で話していた。
アンジェから、サクラのポストに入れてくれと、封緘された手紙を渡された。
【事件発覚前日の夜】
ところで、私は「赤の経典」の信者で異教徒だ。教祖のアンジェに誘われ、人工雲工場の労働の改善を説く教団に入った。信者は住民の半数にも及ぶ。アンジェから受け取った手紙をナオトに渡す前に夕食を取ることにした。
夕食中、玄関の開く音が2回聞こえた。食後に、自宅の玄関を開け、サクラの空のポストにアンジェから渡された手紙を入れて帰った。帰宅後、玄関の開く音が聞こえた。
寝る直前、アンジェが訪ねてきた。彼と玄関を開けたまま、会話した。彼は私に「きゅるるんトーチ」というものをくれた。軽くて手に馴染みやすく、杖の形をしている。これは信頼している人にのみ与えるものらしい。恨みを晴らしたい時はこの武器を使えと、最強の使用法を教えてくれた。
アンジェが玄関を閉めて去ると、私はそれを金庫に仕舞まった。喜びのあまり一睡もできなかった。ちなみに、きゅるるんトーチは2つあり、アンジェ自身は使えないそうだ。
※玄関の閉まる音とアンジェ宅の玄関が開く音は聞こえません。
【事件発覚当日の朝】
アンジェの死体が見つかった。住民からサクラとナオト、タクミが疑われている。死体には刃物ではない傷があった。
アンジェを殺害した犯人を見つけよう
ナオトに刀の手入れについて詳しく聞いてみよう