あなたはこの事件の真犯人です
この街の空には人口雲が浮かんでいる。私はそれを製造している工場の社長だ。ナオトとタクミ、アンジェはそこの作業員だ。ナオトは刀鍛冶を兼業している。
100年以上前から伝わる「白の経典」という宗教があり、人口雲製造は最上位の職務とされている。しかし、それは過酷な労働で、労働者たちはいつも癒しを求めている。
街の構造はシンプルだ。人口雲工場と日時計が一本の道で繋がり、その途中に民家がある。事件の第一発見者の住民は朝まで外で飲み明かし、その間誰も見ていない。そのことから、犯人はその住民より日時計の近くに住んでいるサクラとナオト、タクミの誰かと結論づいた。アンジェの家は最も日時計に近い。
サクラとナオト、タクミの家は近所で、各々の玄関の扉が開く音が聞こえる。
住民は帯刀しており、ほぼ全員が剣豪だ。アンジェは数年前、冒険家としてこの地を訪れ、今も滞在している。
ちなみに私は50歳よ♡
【事件発覚前日の朝】
私はいつも一番早く出社する。工場に向かっていると、工場の前で「きゅるるんトーチ」という武器を見つけた。社長室に保管された歴史書の中でしか見たことがない。それは軽くて手に馴染みやすく、杖の形をしている。大変危険な為、それを回収して仕事に入った。
社長室には最重要秘密書類も保管されている。
【事件発覚前日の昼】
仕事の昼休憩にアンジェから小声で噂話を聞かされた。街に潜む異教徒が反乱の計画を遂行しているらしい。人口製造雲の仕事を揶揄し、信者を集めているらしい……。なんということだ。「白の経典」が絶対に正しいのだ。
そういえば、タクミは見かけるが、ナオトを見かけない。
【事件発覚前日の夜・仕事終わりの帰宅後】
夕食を食べていると、玄関が開く音が聞こえた。しばらくすると、ナオトが私の家の玄関を開け、そのまま『反乱の予防策です』と住民らの刀を献上しに来た。異教徒の噂を聞いていたので安心した。彼に何か褒美を与えようかと思う。ナオトが帰ると、夕食を再開した。その最中、再び玄関が開く音がした。
夕食後、玄関を開けてポストを見ると、封緘された手紙があった。『日を崇める者よ。明日の夜に日時計に集え。今宵、私はその場所で準備をする。近づくなかれ』と記されていた。異教徒の教祖からだと思われる手紙だった。間違えて届けてしまっただろうか。異教徒の教祖を殺すべく、そのまま日時計の場所へ向かった。
日時計の場所で待っていると、アンジェが現れた。彼を問い詰めると、異教徒の教祖だと白状した。私は「白の経典」を守るため、彼に殺傷武器であるきゅるるんトーチを使った。
「きゅるるん♡ふれいむっ!」
呪文を唱えると、魔法陣が展開され、アンジェが息絶えた。それから帰宅し、きゅるるんトーチをポストに隠した。手紙はしわくちゃにして捨てた。興奮のあまり、一睡もできなかった。
※玄関の閉まる音とアンジェ宅の玄関が開く音は聞こえません。
【事件発覚当日の朝】
アンジェの死体が見つかった。住民からサクラとナオト、タクミが疑われている。死体には刃物ではない傷、すなわちきゅるるんトーチによる傷があった。
怪しまれないようにしよう
他の異教徒の存在を炙りだそう
アンジェの目的を推理しよう(寡黙に推理することが望まれます)