自然地理学(Physical Geography),地形学(Geomorphology),堆積学(Sedimentology),第四紀学(Quaternary Science)
地形学の研究方法に基礎を置き,第四紀学および堆積学・層序学の手法も取り入れながら,日本を含むアジアの沿岸域や河川氾濫原にみられる地形・堆積システムの発達過程と第四紀(とくに最終氷期最盛期以降)の海水準変動や気候変動との関係を明らかにする研究をおこなってきました.更新世・完新世を対象とした研究は,より古い地層から堆積環境を解釈し,地球表層環境を復元する上でも重要です.
また,これらの場所において近年頻繁に発生している洪水や津波といった自然災害に関する現地調査にも取り組んでいます.
沖積低地(デルタやエスチュアリー)の形成史
地形図読図や空中写真判読をもとに沖積低地表面に分布する地形の特徴を把握する.また,ボーリング堆積物(沖積層)や既存ボーリング資料などの解析・分析(堆積相解析・軟X線写真撮影・粒度組成・放射性炭素年代測定など)にもとづいて沖積低地を構成する堆積物の特徴や堆積時期,堆積速度を明らかにする.
最終氷期最盛期(約 18000年前)以降の氷河性海水準変動・気候変動に対する低地の応答過程を議論する.最近は,濃尾平野などで沖積低地表層を構成する氾濫原の形成過程を調査している.
サンゴ礁地形(昔の研究)
最終氷期最盛期以降の海水準変動とサンゴ礁地形の発達過程との関係を検討する.
愛知県:豊川中・下流域
琉球列島:島棚地形
中国:長江デルタ
ベトナム:紅河デルタ
シリア:Tell Seker al-Aheimar ,ハブール河沿い(遺跡周辺の自然環境)
中国:エジナ旗
タイ:アンダマン海沿岸(津波堆積物)
岐阜県・愛知県・三重県:濃尾平野
静岡県:天竜川河口域(ファンデルタ)
チリ:パタゴニア氷原およびその周辺
北海道:石狩川中・下流域(三日月湖の形成,氾濫原の形成過程)
岩手県・宮城県:三陸海岸・仙台平野など(災害調査)
台湾:嘉南平原
宮城県:仙台平野(浜堤平野)