研究内容

ナノスケール赤外分光基礎物性計測

走査型近接場光学顕微鏡

当研究室ではナノスケールでの材料物性計測を行うにあたり,走査型近接場光顕微鏡(Scanning Near-field Optical Microscope: SNOM)を積極的に活用しています.回折限界を超え物質表面で局所的に存在する近接場光を,カンチレバーと呼ばれる極微の針で計測し,対象材料のナノスケールの挙動を解析することができます.超解像イメージングや,局所的分光計測,また凹凸を含む表面形状計測といった様々な用途を実現する超高性能計測装置です.

ナノスケール電磁界分布

当研究室でのSNOMの活用例としては,電磁波アンテナ構造の効果を実験的に可視化するといった取り組みが挙げられます.アンテナ設計は通常シミュレーションソフトを通じて行いますが,SNOMを用いることで作製アンテナにおける電磁界増強を直接に評価することができます.これによりシミュレーション設計精度の定量的評価といった電子デバイス作製の指針となり,実際にログスパイラルアンテナという構造体の振る舞いを明らかにしました.

三次元ナノ電子材料観察

SNOMは電子材料のナノスケールな三次元構造を解析することにも特化しています.ノーベル物理学賞の対象となりナノカーボン材料の中でも特に代表格として注目を集めるグラフェンにおいて,微細多孔質構造により構成されるナノポーラスグラフェンに注目しました.ナノスケールの孔部分での光学応答変化の鮮明な可視化に成功し,ナノポーラスグラフェンによるTHz波・赤外線吸収の動作メカニズムに対する物理的な解明に大きく貢献しました.