カスミアオガイ

Nipponacmea habei Sasaki & Okutani, 1994

レア度:たまに見られる

形態:中型の笠貝で、1.5㎝程度。貝殻の輪郭は円形に近い。通常、殻頂部は烏帽子状に飛び出ている(これは成長の変曲点である = 幼貝は殻が高い)。同所性のベッコウシロガイにやや似るが、より輪郭が丸く、殻表はザラザラと粗い。また、殻色はより褐色に近い。軟体部は、足の側面、頭部、頭部触角のいずれも全面的に黒い。本種は歯舌の側歯に2型がある (Sasaki & Okutani 1994)。

生息域:伊豆半島〜北海道南部(太平洋側)、新潟県〜北海道北部(日本海側)に分布し、潮間帯の岩礁に生息する。

生態:コモレビコガモガイと同様、幼貝は他の巻貝の貝殻上を利用する。伊豆半島では、本種の幼貝がクビレクロヅケの殻上をよく利用していることが報告されている (中野ら 2016)。巻貝の上で成長する笠貝は背が高くなる傾向があるため、本種の貝殻の成長の変曲点は、他の巻貝の貝殻から岩礁へ生息基質を変化させたことの証拠と考えることができる (中野ら 2016)。

その他:カスリアオガイ N. radula (Kira, 1961) という似た名前の近縁種がいる。

2018年8月 山上
2021年3月 山上
2021年3月 山上
2021年3月 山上
2021年3月 山上これは幼貝ではないが、クボガイに乗っている
2021年3月 大友
2021年3月 大友イシダタミの上にのっかる
2021年3月 大友イシダタミの上にのっかる②、同定は?付き…
2021年3月 大友左が本種、ヨメガカサガイとお散歩中

引用文献:

  1. Sasaki, T. & Okutani, T. 1994. Description of a new lottiid limpet, Nipponacmea habei, with special reference to morphology and distribution of two infraspecific populations. Venus, 53: 1–20.

  2. 中野智之・中山凌・佐々木猛智. 2016. カサガイ類の幼貝の生息環境. ちりぼたん, 46: 110–116.