クビレクロヅケ

Monodonta perplexa perplexa Pilsbry, 1889

レア度:たまに見られる

形態:イシダタミを上下に押しつぶして表面を磨いたような巻貝。大きくても2㎝程度であり、イシダタミより小さい。全体的に黒く、わずかに淡色の稲妻模様がある。成熟すると開口部の角度が変わるため、巻きがくずれて(くびれて)みえる。

生息域:北海道南西部から九州、台湾に分布し、潮間帯の岩礁に生息する。葛登支では護岸壁でイシダタミに混じってみられるが少ない。函館山の海岸には多産するので、そこがソースかも。

生態:植食性であり、イシダタミ同様付着珪藻を主に摂食するものと思われる (Arakawa 1963)。繁殖期には、イシダタミ同様高潮位への移動をおこない (Kojima 1962)、さらに発生過程においても全く同様の特性 (i.e. 放卵放精、間接発生) を示す (佐々木 1985)。

その他:北海道日本海側では近縁種のクロヅケガイ M. neritoides (Philippi, 1849) が多い。クロヅケガイは貝殻が赤と緑の市松模様をなし、色彩で区別できる。

2020年8月 山上イシダタミとイボニシと
2020年8月 山上
2020年8月 山上イシダタミ(小)と比較
2020年8月 山上イシダタミと
2020年8月 山上一番左はイシダタミ

引用文献:

  1. Kojima, Y. 1962. On the spawning of a top-shell, Monodonta labio (Linne). Venus, 22: 200–203..

  2. Arakawa, K.Y. 1963. Studies on the molluscan faeces (I). Publications of the Seto Marine Biological Laboratory, 11: 185–208.

  3. 佐々木良. 1985. 気仙沼湾周辺におけるエゾアワビ浮遊幼生の査定と出現. 水産増殖, 32: 199–206.