アカオビシマハゼ

Tridentiger trigonocephalus

(Gill, 1859)

レア度:たまに見られる?

形態:全長 8cm 程で、体側に2本の黒い縦線が入るのが特徴。普段は白~淡黄色の体色をしているが、繁殖期になるとオスは体全体が黒っぽくなる。頭部側面 (頬部) に大きな白斑をまばらに持つが、頭部腹面は真っ白。しり鰭に2本の赤い線が見られることが和名の由来である。シモフリシマハゼ T. bifasciatus と似るが、シモフリは頬部から頭部腹面にかけてに白斑が密に散ること、鰭に赤色帯がないこと、胸鰭の最上鰭条が遊離しないことで見分けられる (明仁・坂本, 1989)

生息域:北海道から九州、また河北省から香港の中国沿岸で見られる。アメリカ、オーストラリアでは移入が確認されている。汽水~海水域に生息するが、本種は高塩分環境を、シモフリシマハゼは低塩分環境を好む (明仁・坂本, 1989)。


生態:体色がコロコロ変わり、英名は Chameleon Goby (カメレオンハゼ)。さらに縦縞型と横縞型があり、その縞すらはっきりしていたり途切れていたりと、非常にややこしい。繁殖期は、韓国沿岸では7~8月で、生殖腺の成熟は温度依存的と考えられている (Hwang & Baek, 2013)。カキ殻の内側などに産卵する。磯に棲む魚種だけあって空間認知能力に優れており、潮位変化をキューとした摂餌学習実験を難なくこなし、さらにはそのタスクを1か月ほど記憶していたという研究がある (Yoshida et al. 2013)。

その他:テトラミンなど人工餌料によく食いつき、アゴハゼ同様容易に飼育できる。

2021年6月 とみよしすばしっこくてアップを撮れていなかったがついに!嬉しい
2014年8月@江差・かもめ島 大友
2014年8月@江差・かもめ島 大友胸鰭の最上軟条は遊離する (わかりづらい)
2021年8月6日 藤本
2021年11月 深澤 水槽で飼育している個体 名前はゆずちゃん
2021年11月 深澤 ゆずちゃん
2021年11月 深澤 ゆずちゃん
2021年10月21日 りったアゴハゼのように見える模様のとき
2021年10月21日 りった
2021年10月21日 りったエビジャコヨロイイソギンチャククボガイと一緒
2021年11月4日 りった
2021年11月4日 りった胸鰭の最上鰭条が遊離

引用文献:

  1. 明仁・坂本勝一, 1989. シマハゼの再検討. 魚類学雑誌 36(1): 100-112.

  2. Hwang, J., H. and Baek, H., J. 2013. Reproductive cycle of chameleon goby, Tridentiger trigonocephalus in the southern coastal waters of Korea. Development and Reproduction 4: 353-361.

  3. Yoshida M., Kanto Y., Tsuboi M. and Sakai Y. 2013. Rapid acquisition of an appetitive conditioned response in an intertidal fish, Tridentiger trigonocephalus (Gobiidae), using an ethologically relevant conditioning paradigm. Behaviour 150: 585-598.