スジエビモドキ

Palaemon serrifer (Stimpson, 1860)

レア度:いつでも見られる(夜?)

形態:体長20~30 mm程度。半透明でハサミはごく小さい。細長い額角の上方に10~11歯を持つ。眼の下側に触角上棘がある。尾節の背側・後端に各2対の棘がある。スジエビ P. paucidens に似るが、腹部に黒い筋が走るのが特徴。

生息域:日本海、太平洋沿岸、シベリア、朝鮮半島、中国、ジャワ島、マーグイ諸島、ミャンマー沿岸の岩礁潮間帯等。夜間に採集しているとヘッドライトの光に集まってくることがある。

生態:イソスジエビ P. pacificus との場所を巡る闘争では、本種の方がはさみ脚が相対的に大きく、より小さいサイズでも闘争に勝ちやすいことが分かっている(伊藤・渡邊, 1991)。同所的に生息する両種だが、エビヤドリムシの1種 Bopyrus squillarum はほとんど本種にのみ寄生し、オスは雌化、メスは不妊になる(伊藤・渡邊, 1992)。千葉県館山市での調査では、繁殖期は4~10月で越冬群と当歳群の両方が繁殖する(伊藤ほか, 1991)。肉食性が強く、スカベンジャーの役割を果たしていると考えられる。最近では、アサリの着底直後の稚貝(殻長1㎜以下)をすさまじい勢いで食べることが判明した(高橋ら, 2019)。ちなみに、ユビナガホンヤドカリも負けず劣らずよく食べるそう。

その他:海水水槽の掃除屋になるかもしれないが、アゴハゼに捕食されたので魚類との混泳には注意が必要。

2020年10月 大友
2020年10月 大友
2020年12月 青木割と悪人顔かも
2020年12月 大友
2021年2月 大友
2021年2月 大友
2021年5月 藤本ででん
2021年5月1日 りった左側のエビがそうかなと思います。右側はアシナガモエビ
2021年7月23日 りった背景に溶け込んでいる。透明だから
2021年7月23日 りった顔にピントさえ合っていれば、すばらしい写真だった。。。
2021年12月16日 藤本

引用文献:

  1. 伊藤円・渡邊精一, 1991. イソスジエビとスジエビモドキの棲み場所をめぐる闘争. Researches on Crustacea 20:35-42.

  2. 伊藤円・渡邊精一, 1992. イソスジエビとスジエビモドキにおける Bopyrus squillarum の寄生による影響について. 日本ベントス学会誌 43: 29-39.

  3. 伊藤円・渡邊精一・村野正昭, 1991. イソスジエビとスジエビモドキの成長と繫殖. 日本水産学会誌 57(3): 1229-1239.

  4. 高橋宏司・澤田英樹・益田玲爾, 2019. アサリ浮遊幼生および着底直後稚貝の潜在的捕食者の探査. 水産増殖 67(3): 275-279.