エゾバフンウニ

Strongylocentrotus intermedius
(A. Agassiz, 1863)

レア度:いつでも見られる

形態:The ウニ②(①はこちら)。北海道沿岸ではふつうにみられるが、キタムラサキウニに比べると数は少ない(それでもたくさんいるが)。体形はいわゆる馬糞型。やや細く短い棘が密生し、体色は茶褐色から暗緑色など変異に富む。本州にはバフンウニ Hemicentrotus pulcherrimus が主に分布し、非常に稀だが道南地域でも記録がある。エゾバフンウニは殻の直径が4㎝以上になるが、バフンウニは4㎝以下がほとんど。またウニの管足は「孔対(こうつい)」という穴から出てきており、孔対は2つの穴で1セットと数える。この孔対が歩帯に何列をなして並ぶかが分類形質となるが、エゾバフンウニは5列、バフンウニは4列なので、ここでも確実に識別は可能である。

生息域:北海道沿岸から、本州日本海側は富山湾、太平洋側では稀に千葉県銚子まで分布するとされる。葛登支では、平磯の沖寄りに比較的多く、昼夜問わず岩の下で見られることが多い。

生態:キタムラサキウニよりも死骸によく集まるように思える(より腐肉食性が強い?)。大抵は貝殻片や海藻の切れ端などを体につけている。雌雄異体だが、ごく稀に雌雄同体の個体が見つかる(田嶋・富田, 1980)。冷水性種のため、水温23℃以上では仔稚ウニは死んでしまう(宮本ら, 1985)。また、長期間20℃以上の水温に曝露すると、物陰に隠れる行動が増えるそう(Zhang et al., 2017)。活動に明瞭な日周性は示さないとされる。キタムラサキウニと比べて、1日の活動量が少なく、他個体と出会ったときにけんかのような行動も起こしにくいことが報告されている(伊藤・林, 1999)。そういえば葛登支でも、2~3個体が固まってみられることがよくある気がする。

その他:道南地域(?)の地方名は「ガンゼ」。キタムラサキウニよりもクリーミーな味がするため、生で食べるとおいしい。

2016年4月@臼尻 大友ごっこの死骸を食す
2020年8月 大友
2015年5月 りった殻、兵どもが夢のあと
2015年5月 りった みんなでものかぶり行動
2020年10月 りった
2021年2月 大友
2021年2月10日 りった
2021年2月10日 りった
2022年3月 藤本色々くっつく。右端はクボガイ。その隣はヒメイガイ
2022年3月 藤本色々くっつく②。ユキノカサガイがおしゃれ

引用文献:

  1. 伊藤祐子・林育夫 (1999). 室内実験で観察されたキタムラサキウニ Strongylocentrotus nudus とエゾバフンウニ S. intermedius の行動様式. 東京大学海洋研究所大槌臨海研究センター研究報告 24, pp. 24-29.

  2. 宮本健樹・伊藤雅一・水島純雄. 天然採苗したエゾバフンウニ稚仔の種苗性について. 北水試月報 42, pp. 203-221.

  3. 田嶋健一郎・富田恭司 (1980). 雌雄同体のエゾバフンウニ. 北水試報 22, pp. 1-5.

  4. Zhang L., Zhang L., Shi D., Wei J., Chang Y. and Zhao C. (2017). Effects of long-term elevated temperature on covering, sheltering and righting behaviors of the sea urchin Strongylocentrotus intermedius. PeerJ 5: e3122. (DOI: 10.7177/peerj.3122)