マコンブ,オニコンブ(ラウスコンブとして市場では流通しています),リシリコンブ,ホソメコンブは産業において極めて重要な海藻です。しかしながら,産業利⽤の基本的な単位である種の境界が不明瞭でした。具体的には,オニコンブ,リシリコンブ,ホソメコンブをマコンブの変種と扱うことが発表された後, それらに対応する遺伝集団の存在が⽰唆されていました。興味深いことに,これを支持する研究は変種を提唱した著者らによる研究1報のみでした。マコンブは産業重要種であるため,集団遺伝学的な研究がいくつか実施されてきましたが,それらでは変種に対応する集団が示されていませんでした。加えて,変種が充てられているマコンブは北海道沿岸に生育するもののみで,本州の東北沿岸に生育するマコンブやロシアや北朝鮮で産するマコンブは,どの変種にあたるのかよくわかっていませんでした。そこで,本研究では日本国内からマコンブ,オニコンブ,リシリコンブ,ホソメコンブを合計で475個体集め,集団遺伝学的な再検討を実施しました。その結果,マコンブ,オニコンブ,リシリコンブ,ホソメコンブに相当する遺伝集団は存在せず,地域特異的な遺伝集団が認められました。全てのサンプルを統合して,サンプル間の遺伝距離と地理的な距離の関係を求めると,距離に比例して遺伝距離が大きくなりました。これは種内の遺伝距離の比較で頻繁に認められるのパターンです。したがって,マコンブ,オニコンブ,リシリコンブ,ホソメコンブは遺伝的に区別できないため, 同種として扱うことが妥当であり,種を統合する際は,最も古く記載された種に統合する規則が国際命名規約で定められていることから,オニコンブ,リシリコンブ,ホソメコンブをマコンブに統合することを発表しました。
マコンブはLaminaria japonicaとして記載された後,Saccharina japonicaに移属されています。この時に,Laminaria japonicaの品種(forma)として提唱されていたものが全て放置されていました。個人的にはコンブ類は形態変異が極めて激しいので品種は不要だと思っていますが,分類学的には放置できないだろうと考え,Laminaria japonicaに発表されていた品種とSaccharina japonicaに入れ込みました。一部標本が見つからない(実態不明)の品種があるようです。。。
詳細はJournal of Phycologyに掲載された論文をご覧ください。こちらからアクセスできます。