鹿児島植物研究会発足の経緯

 かつて故初島住彦鹿児島大学名誉教授が中心となって「鹿児島植物同好会」が作られ、改訂鹿児島県植物目録(1986)をはじめ、多くの成果をあげられてきている。

 1991年には鹿児島県でレッドデータブックを編集することになり、当時鹿児島大学理学部の植物分類学の教授であった故堀田満鹿児島大学名誉教授を中心として、丸野勝敏らがワーキンググループ調査員5名を構成し、4年間の野外調査・文献調査を実施した。当時までに出版されていた鹿児島県の植物目録には確実な標本に基づくものがほとんど見られず、また目録からでは各種について集団・個体数に基づく希少性評価を行うには無理があった。そこで、堀田先生は、鹿児島大学農学部の標本(現在は同学総合研究博物館(KAG)所蔵)の約12万点に目を通し、希少性が高い植物のデータベース化を図られた。このデータを植物の希少性の評価基準の礎とし、現地調査により得られた追加の知見で補正を行い、鹿児島県の絶滅の恐れのある野生動植物(レッドデータブック)が2003年に出版された。

 レッドデータブックはひとまず刊行されたものの、実際には情報不足の植物種が多く残されていた。そのため、堀田先生と丸野らは時間を見つけては各地へ植物の調査に出かけた。車中・現地・事務所で堀田先生に多くのお話を伺い、本県における植物相・調査等の先生のお考えを理解できるようになった。また堀田先生の観察眼、植物標本の重要性など多くを学んだ。何回かそのような調査を行う中で、鹿児島県内の植物愛好者を集めて定期的に観察会を開こうという雰囲気になり、「鹿児島植物研究会」を立ち上げようということになった。何人かへ呼びかけて準備会を持ち、会の名称、会則、観察会のありかた、会費、会長(堀田先生)、世話役(丸野)などを話し合った。初めからあまり難しい規約とせず、とにかく始めようとなり、2004年4月に第一回の観察会を行った。

2009年からは、鹿児島植物研究会の会誌を発行するようになった。堀田先生は、「来る者は拒まず、去る者は追わず」、「観察地は地域・季節を考える。公共交通機関できるだけ利用する」、「将来発行する鹿児島県植物誌の基礎資料を得る」、「標本に基づく目録が必要」、「うまい文章より事実を確実に記録する」などをよく口にされた。

高い見識を持たれた堀田先生が理想とされたように会を進めることは難しかったが、2015年に堀田先生ご逝去後も鹿児島県の植物に関心を持つ人々が集まり研究会を続けている。

                                      (令和元年10月7日  鹿児島植物研究会 二代目会長 丸野勝敏 記)

会則

1 本会は、「鹿児島植物研究会」と称し、事務局は事務局長宅に置く。

2 本会は、九州南部を中心とする植物相の調査と研究及び会員相互の研修を図ることを目的とする。

3 本会は、上記の目的を達成するための下記の事業を行う。

(1)研修会、観察会

(2)会報の発行

(3)その他必要と認めた事項

4 本会には、会を運営するための①会長、②事務局長(会計係と通信連絡係)、③会報編集委員及び④会計監事を置き、任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。

5 総会は、原則として年1回開催する。総会に付議する主な事項は次のとおりとする。

(1)会長、事務局長、会計監事の選出 (2)会務報告 (3)会則の変更

(4)その他必要と認めた事項

6 本会に入会するには、入会申込書に1年分の会費を添えて会長に提出する。

7 会計年度は、1月1日から12月31日までとする。

8 会費は、年額2,000円とする。

9 本会の経費は、会費及びその他の収入による。

10 会費を2年間滞納した者は退会となる。

附則 本会則は、平成16年3月7日から施行する。

平成28年1月16日一部改正

平成29年1月21日一部改正

令和 2年1月25日一部改正

令和 4年1月22日一部改正

令和 年1月2日一部改正


会員

○会 長(3代目): 鈴木 英治 (鹿児島大学島嶼研特任教授 元総合研究博物館館長 )

○事務局長: 石貫泰三 (一般財団法人 鹿児島環境技術協会)

〇編集委員:田金秀一郎(鹿児島大学総合研究博物館)

○会計監事: 田中 珠樹 

他 現在会員数31名

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