2020年5月31日更新
Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health(BSPH)のMPHプログラムに留学するには、以下の10ステップが必要です。だいたい留学を志してから準備していく順番になっています。
準備開始から留学まで、通常1~2年間程度、最短でも9か月間程度はかかるので、入学前年の春頃には準備を始めるとよいと思います。
1.費用を工面する。
時期の目安:入学数年前~米国ビザ取得まで
7万ドル近い学費に生活費、渡航費、医療保険の保険料等を加えると、全額自己負担する場合は、最低でも10万ドル程度かかります。学費についてはこちらのページをご覧ください。詳しくは後述しますが、「10.米国ビザを取得する」で、学費等の支払い能力があることを示す必要があります。
BSPHが提供する奨学金として、Sommer Scholars Programがあります。学費が全額免除され、生活費も支給されます。詳しくはこちらのページをご覧ください。
2.数学力、英語力、論述力を示す試験(GRE)を受験し、結果をBSPHに送る(SOPHASに登録する)。
時期の目安:入学5年前~入学前年10月頃
Graduate Record Examinations(GRE)は、米国の多くの大学院が受験を義務付けている、日本の大学入試センター試験の米国大学院版のような試験です。数学(Quantitative Reasoning)、英語(Verbal Reasoning)、論述(Analytical Writing)の3科目あり、試験場のパソコンに入力して解答します。成績はそれぞれ素点とパーセンタイル(受験者全体の中で最下位から数えて何%に位置するか)で表され、センター試験と異なり複数回受験して最もよいスコアを提出できます。
BSPHのMPHプログラム合格者の成績の中央値は、こちらのページに載っています。多くの日本人にとってVerbal Reasoningの69~89%は高いハードルですが、英語を母語としない受験生の合否にはあまり影響しないという噂があり、実際に20%程度で合格したという人もちらほらいます。
3.英語力を示す試験(TOEFLまたはIELTS)を受験し、結果をBSPHに送る(SOPHASに登録する)。
時期の目安:入学2年前~入学前年10月頃
Test of English as a Foreign Language(TOEFL)とInternational English Language Testing System(IELTS)は、いずれも英語の4技能(読む、聞く、書く、話す)を測る試験です。TOEFLはGREと同様に試験場のパソコンに入力して解答する形式で、IELTSは解答用紙に解答を記入する形式(speakingは対人型の試験)をとっています。いずれも複数回受験して最もよいスコアを提出できます。
こちらのページによると、TOEFLで100点またはIELTSでバンドスコア7.0が最低基準とありますが、TOEFLはわずかであれば100点を切っていても合格の可能性はあるようです。ただし、留学中にしっかり学ぶためには、TOEFL 110点を超える程度の力を入学までに身に付けることが望ましいと思われます。
4.SOPHASのアカウントを作る。
時期の目安:入学前年の8月頃
BSPHを含む多くの公衆衛生学大学院の学位プログラムへの出願は、Schools of Public Health Application Service(SOPHAS)という団体がまとめて受け付けています。翌年入学の学位プログラムへの出願募集が始まったら(8月頃)、アカウントを作ります。
5.出身大学・大学院の成績証明書に加えて、修士号又は博士号を持っている場合は学位取得を証明するレターを、大学・大学院からWESに送ってもらう。
時期の目安:入学前年の8月~9月頃
出身大学と大学院の成績証明書(transcript)を、BSPHではなく、大学・大学院からWorld Education Services(WES)という団体に直接送ってもらいます。大学院で学位を取得している場合は、それを証明するレターもあわせて送ってもらう必要があります。
WESは、履修したコースの名称から内容を分類したり成績の平均点(grade point average: GPA)を計算したりした上で、SOPHAS経由でBSPHに送ってくれます。
GPAは、優を4点、良を3点、可を2点として、在学中の全成績を各コースの単位数で加重平均した値です。こちらのページにある通り、BSPHのMPHプログラム合格者のGPAの中央値は3.5と高く、"it is recommended that applicants have a GPA of 3.0 or above"とも書かれていますが、3.0が必要ではありません。
6.志望理由書を書き、SOPHASに登録する。
時期の目安:入学前年の9月~11月頃
志望理由書(personal statement)は、選考過程で大変重視されるようです。提出する一連の書類の中で少なくともこれだけはネイティブチェックを依頼する必要があると思われます。
志望理由書の書き方に関する情報は、こちらのページにあります。
7.履歴書を書き、SOPHASに登録する。
時期の目安:入学前年の9月~11月頃
初めて英文の履歴書(curriculum vitaeまたはresume)を書くのであれば、経験者に助言をもらった方がよいかもしれません。
8.3~5人の方に、推薦状を書いてSOPHASに登録していただく。
時期の目安:入学前年の9月~11月頃
3~5人の方に推薦状(letter of recommendation)を書いてSOPHASに登録していただきます。BSPHの教員に書いていただけると有利だそうです。
9.SOPHASでBSPHに出願する。
時期の目安:入学前年の10月~11月頃
2ポツから8ポツがそろったら、SOPHASでBSPHに出願します。その際に細々と入力する項目がありますが、これはネイティブチェックをかけなくても問題ないようです。
MPHの出願締切は12月1日(2017年出願時)ですが、合格基準を満たしている受験生には締切前でも合格通知を出していくので提出が締切ぎりぎりになると不利という噂があります。一方、提出が早すぎるのもよくないようです。
競争倍率は、非公表ですが、2倍程度と聞いたことがあります。
合格通知は、早ければ年内、遅ければ4月頃に届きます。不合格の通知が来た後に電話で交渉し合格になったという猛者もいるので、合否判定はかなり柔軟なようです。
10.米国ビザを取得する。
時期の目安:合格後
合格通知が届いたら、BSPHに必要書類を送ってもらい、日本にある米国大使館または総領事館でビザを取得します。その際に、パスポートのほか、学費等を支払う能力があることを示す書類(銀行の英文残高証明書等)が必要です。英文残高証明書は、発行までに一週間程度、要するため、合格通知が届いたら、早めに銀行に依頼することをお勧めします。
BSPHのMPHプログラムオフィスが合格者のFacebookグループ(例:JHU MPH Class of 2017-2018 - Bloomberg School of Public Health)を作ってくれるので、合格通知が届いたら登録してみてください。未来の同級生と交流できるほか、アパートや医療保険に関する有用な情報が流れていました。入学後も引き続き使われます。
出願関連以外に、以下のステップも必要と思われます。一部はボルチモアの生活でさらに説明します。
日本で
不用品の処分(ヤフオク等に安く出すと意外とすぐ売れます)
レンタル収納の契約、荷物の搬送
航空券の購入
国際運転免許証の取得(無事故・無違反証明書も取得しておくとよい)
金融機関への連絡(渡米後にオンラインバンキングを利用しようとすると、海外からのアクセスであることを検知しているのか、アカウントが凍結されることがあるので、その際に説明できるよう渡航を事前に届け出ておく方がよいと思われます)
市区町村への海外転出届の提出(医療保険や年金等の手続き)
米国で
携帯電話の契約
アパートの契約(2017年以降は、合格者のFacebookグループに情報が流れました)
電気・ガス・水道の契約
インターネットの契約
医療保険の契約(2017年は、合格者のFacebookグループに情報が流れました)
銀行口座の開設、クレジットカードまたはデビットカードの作成(ユニオンバンクでは、渡米前でも口座を開設し、デビットカードを作成できます)
日本大使館への在留届の提出(メールアドレスを登録すると、こまめに安全情報などを送ってくれます。https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html)
メリーランド州の運転免許証またはIDの取得