活動報告
第6回顔学オンラインサロン [Voluntarily][Engineering]
人工知能を用いた顔研究の現在
講師:瀬尾昌孝(大阪工業大学)
日時:2020年7月21日(火)20:00-21:30
開催方法:オンライン会議(Zoom)
2020年7月21日,日本顔学会主催の第6回顔学オンラインサロンが開催されました.前回の第5回に続き,当交流会とのコラボレーション企画として実施されました.今回は当交流会代表,大阪工業大学の瀬尾昌孝さんを講師に迎え,「人工知能を用いた顔研究の現在」というタイトルでお話いただきました.
オンラインサロンということで,顔にご興味のある遠方の方もたくさん参加され,参加者数は50名を超えました.
講演の初めに,まず瀬尾さんからご自身がこれまで行なってきた顔研究を紹介いただきました.
続いて若手交流会の雰囲気や活動についても少し触れ,当交流会の運営メンバーからもそれぞれ簡単な自己紹介をさせていただきました.熱心に研究に取り組みつつも,楽しく運営に携わっている雰囲気がよく伝わったのではないかと思います.
そして今回の講演のコンテンツは「人工知能とは」,「人工知能を使うのは案外簡単」,「人工知能を用いた顔学研究」という3つのパートに分けられており,人工知能やそれを用いた顔研究についてわかりやすく解説していただきました.
まず,人工知能に対する一般的なイメージや人工知能で実現出来ることの紹介を皮切りに,人工知能についての概覧,その先にあるニューラルネットワークやその原理についてわかりやすく説明して頂きました.
さらにそれらのお話に基づき,「MNIST」というデータセットを用いた実験を例に人工知能の学習過程も実演して頂きました.人工知能を試してみるのは本当に簡単そうで,衝撃的でした.
最後に,人工知能を用いた3つの研究事例を紹介いただきました.
データ生成:一般的な原理だけでなく,敵対的学習を用いた高精度な生成ネットワークの解説もありました.
難易度の高い複雑な顔画像生成:ネットワークを重ねて,画像変換と超解像度を併せた多段階生成を実施されていました.瀬尾さんが提案した手法により,人間のPS技術に負けないほど自然な顔画像が生成されていました.
顔画像の表情分類:解析に有効な情報をうまく集約・整理することで従来手法よりも表情ごとの分布が綺麗で、判別精度も大幅に向上していました.
以上のお話を踏まえ,異分野コラボレーションによる可能性の示唆とさらなるチャレンジへのお誘いで講演は締めくくられました.講演終了後は学習方法や実験者の顔データ収集などについて質問を沢山いただき,大変盛況な講演となりました.
これまでは我々人間が顔の基準を作成したうえで,そのルールに則って人工知能に画像生成を任せておりましたが,これからは基準作成自体も人工知能に任せていけるのではないかと色々考えさせられた夜でした.
7月の顔学オンラインサロンは当交流会とのコラボレーション企画として実施されたことで,これまで交流会に参加されたことのない多くの方のご意見を聞くことができ,大変有意義な企画となりました.