活動報告

第24回定期交流会 [Regular][Engineering]

深層⽣成モデルと潜在変数空間の活⽤- ○○っぽい顔の⽣成-

講師:周東 拓哉 株式会社Fringe81技術開発本部(情報学修士)

日時:2021年5月29日(土)13:00-15:00

開催方法:オンライン会議(Zoom ミーティング)


2021年5月29日(土),コロナ禍の影響を受け,前回に引き続き第24回定期交流会をオンラインで開催いたしました.参加者数は21名でした.

今回の定期交流会では株式会社Fringe81周東拓哉 さんを講師にお招きし,講演と話題提供をしていただきました.お題は「深層⽣成モデルと潜在変数空間の活⽤- ○○っぽい顔の⽣成-」です.

周東さんから、Generative Adversarial Networks(GAN)の入力となる潜在変数と出力画像との間の関係をメインに,ご自身の研究である潜在変数空間の応用事例について紹介いただきました.


講演では,GANの基本についておさらいをした後,潜在変数が持つ空間の性質(潜在空間が連続性を持ち,属性ベクトルの相関関係が現実の相関関係を良く表し,任意の画像を生成できること)に触れ,その上でStyleGAN2を用いた入力画像に対する潜在変数の特定や,属性ベクトルを操作した顔画像の生成技術について紹介いただきました.ここで紹介された年齢ベクトルを操作して得られた生成画像は大変自然かつ高画質なものであり,技術の進歩に驚かされました.

次にご自身の研究である,潜在変数空間の応用事例として集団っぽい顔を生成する手法ついてのご紹介をいただきました.周東さんが取られたアプローチは,実際の顔画像をStyleGAN2により模倣させることで潜在変数へと変換し、サンプルの潜在変数群から顔分布の計算した上で,顔分布からサンプリングにより顔画像を生成するというもので,この手法を用いると,従来の単純な画素の平均による平均顔とは違いボケのない平均顔を生成可能でるあることを示されました.さらに,平均値に対するバリエーションを個性として捉え潜在変数の主成分を計算することで,集団特有の特徴軸を抽出されており,特に紹介いただいた格闘家の事例では説得力のある結果となっていました.


最後におまけとして、モナリザの画像を用いた生成モデルの表現能力テストの結果,encoder4editingによる推論の高速化と,FaceNet(Googleの顔認証)を使った同一人物の推定についてもご紹介をいただきました.講演中,質問や議論が活発に行われ関心の高さが伺えました.

講演後は”交流会”ということで,Zoomミーティングのブレイクアウトルームを使って自由な歓談の時間を設けました.参加者は二つのグループに分かれて,それぞれに興味のある話題について情報交換を行いました.

グループ1は講師の周東さんを中心に,今回の講演内容についての深堀りが行われ,特に今回ご講演いただいた技術の社会への応用可能性に関する議論が行われました.グループ2では,深層学習のトレンド・応用先や今回のご講演内容の心理学系への応用可能性についての議論を行いました.どちらも時間いっぱいまで話題が尽きず、あっという間に終了の時間となりました.

オンライン開催も今回で4回目となりますが,オンライン会議に慣れてきたこともあり始終ハプニングなどもなく,盛況に終わったのではないかと思います.今回から高橋代表・徐副代表の下,新しい運営体制での実施となりましたが大きなトラブルもなくスムーズに交流会を終えることができました。

ワクチン接種が徐々に始まりましたが依然として状況は不透明なため,定期交流会もまだしばらくの間はオンライン開催になるかと思われます.直接顔を合わせることができずこれまで通りの開催とはいきませんが,次回も皆さんとお会いできることに楽しみにしています.