活動報告

第23回定期交流会 [Regular][Psychology]

かわいいキャラ顔とは?~女性キャラクターの相貌特徴と印象の関係~

講師:太田碧(法政大学大学院)

日時:2021年2月20日(日)13:00-15:00

開催方法:オンライン会議(Zoom ミーティング)


2021年2月20日(土),前回に続き第23回定期交流会をオンラインで開催いたしました.

今回は法政大学の太田碧さんを講師に迎え,「かわいいキャラ顔とは?〜女性キャラクター相貌特徴と印象の関係」というテーマでお話いただきました.今回も顔学に関わる様々な分野から合計19人の方にご参加いただきました.

太田さんは実写および漫画作品の顔のそれぞれの相貌と,それに対する印象との関係性に興味を持ったことを契機に研究を始められたそうです.

顔の相貌が似ているからといって同じ印象を与えるとは限らず,正反対の印象を与える場合も多いそうで,そこから形状が大きく異なる実写とキャラクターの顔に対する認識にどのような違いがあるか,その要因を明らかにすることを研究テーマとされているとのことでした.

具体的な解析手法としてはコレスポンデンス分析を応用し,実写とキャラクターの顔に対する印象を一つの2次元散布図へとマッピングして解析されていました.その結果,実写の顔に対する印象はばらつきが少なく,まとまって分布しているのに対し,漫画作品の顔は広範囲にわたって分散しているという特徴がありました.

この分布に対し,太田さんは役者の顔と,その方が演じた作品の顔の印象を比較することで,両者の顔における相貌特徴と印象の関係性を見られていました.

女優の木南はるかさんは強めの大人顔と認識されており,これまでに演じた漫画原作のキャラクターと類似した印象を持たれているのに対し,川口春奈さんは一般的に子供顔で活動的と認識されており,演じたキャラクターの持つ印象との差が見られたということでした.役者の方と演じたキャラクターの顔印象を結びつける解析に参加された方々は非常に関心を持っておられました.

続いて,キャラクターの顔を評価する被験者の傾向についてもお話しいただきました.

オタク自認度,漫画読書冊数,アニメ視聴時間を独立変数とし,それに対してキャラクターの顔を評価する魅力因子(綺麗・かわいい・好きな)を従属変数として分散分析を行われていました.結果,オタクを自認しない人は実写顔の方が魅力的と答え,逆にオタクを自認する人は漫画顔を多少魅力的と答える傾向にあることが分かりました.その背景には,”先行する顔刺激が後の顔評定に影響する”という顔の順応効果が確認できたとのことで,目の大きいキャラクターが登場するアニメ作品を長時間視聴する人の方が現実の世界でも目の大きい方を好むようになる可能性があるとお話しされていました.

それ以外にも,年代によって顔を評価する基準が変わっていることや,創作物としてのキャラクターの顔の役割など,様々な話題についてご紹介くださりました.

講演終了後の質疑応答では,実写と漫画作品の顔を評価する要因は共通なのかどうか,違うとすると,それらをどのように使い分けているのかなど,沢山の質問を頂き大いに盛り上がりました.

講演終了後には瀬尾さんと福富さんから3月6日(土)に開催する顔学会25周年記念シンポジウムについて案内を頂き,今回の交流会を終了しました.

本来の開催予定日から一年遅れての実施となりましたが,若手交流会も複数の面白い出展を用意しております.皆様のご参加をお待ちしております.