活動報告

第21回定期交流会 [Regular][Psychology]

若手研究者による研究発表会

講師:劉沫妤(東京大学大学院),石橋美香子(お茶の水女子大学)

日時:2020年7月5日(日)11:00-12:30

開催方法:オンライン会議(Google Meet)


2020年7月5日(日),若手交流会初の試みとなるオンラインでの定期交流会を開催し,24名の方にご参加いただきました.

今回の交流会では,東京大学大学院の劉沫妤さんと,お茶の水女子大学の石橋美香子さんによる顔に関する研究発表とディスカッションが行われました.

はじめに,劉沫妤さんから「スマイリーマークは本当に楽しいかー絵文字からみるビジュアル時代の電子的コミュニケーション」という演題でご発表頂きました.

日本ではLINEの普及をきっかけに使用が急増したといわれる,絵文字に焦点を当て,使用されている絵文字の意味合いと実際の感情の関係性について分析された大変興味深い内容でした.

デジタル時代の対人関係を円滑化するために有用である一方,他者とつながりたいが、深いかかわり持ちたくないという場面でも使われるという面白いお話もありました.さらに絵文字を使ったコミュニケーションでも,対面コミュニケーションと同じく対人社会配慮が行われるというお話は衝撃的でした.

また,質疑応答では劉さんのご出身である中国でもおじさん絵文字やおじさんLINEはあるというお話があり,文化が違っても同じなんだなぁとしみじみ感じてしまいました(笑)

続いて石橋美香子さんから「保育士の経験年数に応じた視線行動の差異についての検討ーウェアラブルトラッカーを用いてー」という演題でご発表頂きました.

保育の質の維持・向上が課題として挙げられている昨今,保育場面でいかに実践知を獲得していくかが重要であるということで,経験の浅い保育師と熟達者の差異がどういった部分で見受けられるのか,検証されたご研究でした.

熟達者ほど必要な情報を選択的・効率的に処理しているという仮説のもと,ウェアラブルな視線計測装置を用いて,経験の浅い保育師と熟達者の視線行動の特徴を検証されていました.

結果として,熟達者ほど子供の顔への注視時間が短く,全体的な状況把握のために様々な部分を確認していることがわかり,熟達者の凄さと大変さを再認識する機会となりました.

今回は初めてのオンライン開催ということで,問題なく開催できるか心配していた部分がありました.途中,事前に録画して準備していた劉さんの発表動画の音声が流れず,その場で発表を行うというハプニングもありましたが,皆様のご協力のおかげでそれ以降はスムーズに進行でき,初めての試みとしては上手くいったといえるのではないかと考えています.

まだまだコロナウィルスに対しては気が抜けない状況が続いていますので,次回研究会もオンラインでの開催が濃厚となっております.次回からはオンラインならではの良さをさらに出しつつ,皆様により楽しんでいただける企画を考えていきたいと思っています.