活動報告

第1回定期交流会 [Regular][Art]

似顔絵作成ワークショップ

講師:中洲俊信(株式会社東芝),武藤祐子(山野美容芸術短期大学)

日時:2012年11月24日(土)13:00-16:30

場所:山野美容専門学校 6階606教室


顔学に興味のある若手のネットワークを作ることと,交流を通じて顔学の将来像を考えていくことを目的としてスタートした若手交流会.記念すべき第1回は,工学,心理学,美容などの顔研究者だけでなく,趣味や仕事で顔を扱っている人など様々な分野から19名の(自称)若手が集まりました.場所は代々木にある山野美容専門学校で,ヘアメイク練習用のマネキンが教室の所々に置いてあったりと,遊び心満載の場所でした.

まずは,発起人の一人である中洲さんによる若手交流会の趣旨説明の後,参加者全員が自己紹介シートを使って自己紹介をしました.

続いて,若手の活動事例として,今年の日本顔学会の学術大会で行われた若手企画について,上田彩子さん(理科学研究所),渡邊伸行さん(金沢工業大),前島謙宣さん(早稲田大)から紹介があり,現状の課題や今後の進め方について議論を行いました.

最後に,株式会社星の子プロダクションでプロの似顔絵アーティストとしても活躍されていた中洲さん,カリカチュアジャパン株式会社のプロ養成コース修了の武藤さんによるワークショップ「似顔絵を描こう」が行われました.似顔絵の描き方のレクチャー,似顔絵トレース体験,印象取得体験などを通じて,実際に似顔絵ができあがる過程を参加者に体験していただきました.

似顔絵を描く際に重要な4つのポイントは,まずその人物に関心をもつこと,その人物を理解すること,そしてイメージすること,最後に表現することと,と講師の武藤さん.似顔絵のモデルには,日本顔学会理事の原島博先生にご協力いただき,はじめに写真の原島先生から,次に実物のご本人から,できる限りたくさんの印象を書き出す個人ワークからスタートしました.その後,各自が感じたモデルさんの印象について白熱したディスカッションが繰り広げられました.同じ顔・人物を見ていても,人によって印象の捉え方が違うという,顔の面白さを再確認!

次は,用意されたモデルさん(原島先生)の線画にトレーシングペーパーを重ねてなぞる,というワーク.ただなぞるだけならみんな同じでしょ!と思いきや,いやいや,その仕上がりは驚くほど人によって違っていました.なぞる,線を描く,その一つ一つから表現がスタートしているのだと感じました.

最後に行われた中洲さんのデモンストレーションは,なぞった線画の一部を修正することで,個人ワークで抽出したモデルさんの印象を,似顔絵として表現していくというもの.中洲さんいわく,「似顔絵を描くプロセスは顔の認知や表現など,顔研究者にとって必要な技術が総合的に含まれています」とのこと.ここでも,デモンストレーションを通じて,似顔絵の奥深さを体感しました.

普段はあまり絵を描かない研究者の方々もたくさんいらっしゃいましたが,実際に手を動かしたりモデルさんと対話したりすることで,教室の雰囲気も楽しく和やかになり,70分のワークショップがあっという間に過ぎました.その後の懇親会では,特別に原島先生のお仕事場“はらっぱ”をお貸しいただき,分野の違う若手メンバーの間で,まさに枠組みを越えたざっくばらんな意見交換が行われました.

この成果を受けて、2016年11月に開催された日本顔学会の学術大会(フォーラム顔学2016)にて、「絵心のいらない似顔絵作成ワークショップ」口頭発表O2-2と題した発表を行いました。学会会場からの質問も多く、興味をもっていただけました。なお,本ワークショップは,日本似顔絵師協会のホームページでも紹介されました!記事はこちら。※似顔絵作成ワークショップの資料は,活動報告「フォーラム顔学2013若手企画」で紹介した資料に含めました.ご参照ください.