第18回定期交流会

第18回定期交流会 [Regular]

顔科学・顔工学 -若手研究者による萌芽的研究発表-

講師:古橋剛 (アニコム先端医療研究所 ) ,徐キョウテツ(千葉大学大学院 ),瀬尾昌孝(立命館大学)

日時:2019年3月23日(土)10:00-12:50

場所:アニコム先進医療研究所株式会社


平成最後の定期交流会はアニコム先進医療研究所39階の,新宿の摩天楼を眺望できる素晴らしいオフィスでの開催となりました.

今回は18名のご参加があり,3名の登壇者を迎えて最新の顔研究に関する講演と議論が行われました.

講演に先駆け,高橋さんから現在交流会で進めている研究プロジェクトである”縄文顔・弥生顔判定ツール”について報告がありました.フォーラム顔学2018より引き続いて,教師データとなる顔写真の募集についてお話がありました.

最初の講演は,ペット向け保険を取り扱っておられるアニコムの,先端医療研究所 にて研究員として活躍されている古橋先生のご講演でした.「ペット動物のかわいい顔評価研究」 と題して,ペットの顔印象に関する研究をご紹介を頂きました.

目鼻の大きさや配置に着目し,それらが顔全体の『かわいさ』に与える影響について,調査方法およびその結果についてのご報告が主な内容でした.美しさと可愛さには負の相関がある 等,人間の顔と共通の特徴も多くあり,顔研究者にとって非常に興味深い講演でした.

性別や年齢層,周囲の環境などにより趣向が変わるとのことで,私たちと犬猫との絆を繋ぐ顔の幾何学的不思議について洞察を深めることができました.

続いて,千葉大学大学院の徐さんから「顔に基づく印象評定と行動選択の観察者モデル」 と題した講演がありました.

『人の顔のどこに注目するか?』という観察行動(1),および勤勉性などの観察者の性格特性(2)の二者と,顔印象との関係性についてのお話でした.今回の報告では印象評定と『夕食に誘いたい』といった行動選択が(1)と(2)にそれぞれ優位に働くといった興味深い内容で,活発な議論が展開されました.

最後に,立命館大学の瀬尾先生から「深層学習を用いた顔画像生成 -視線・表情変換から動画像生成まで-」と題して,フォーラム顔学2018で輿水賞を受賞した研究テーマを基に,その後の発展も含めた講演がありました.

顔画像の表情や視線を扱う画像処理システムの根幹を担う機械学習手法について,最新の深層学習の動向と併せてご紹介頂きました.一般に難解となりがちな箇所についても丁寧に解説を入れて下さり,他分野の方でもわかりやすく聞けるまさに入門講座でした.

今回の交流会では,最新の顔研究に直に触れることで大いに刺激を受けました.

年号が変わっても,顔の不思議な魅力は変わらない,そう確信させられる一日でした.