Happy Day
Happy Day
母と私は、5月になると「ホトトギス、そろそろだね」と言っていた。
母が逝ったのは5月だ。
その年、ホトトギスの声を聴かないまま、母はあっちへ行った。
先日、ふと目にした Google カレンダーに Happy Dayと書かれていた。
「今日は何の日?」
最初、わからなかった。
母の火葬が始まってすぐ、私は表へ出た。
向かい合ったのは緑の森と灰色の空。
ウグイスが騒いでいた。
ある瞬間、一度だけホトトギスの声が混ざった。
私は、二歩、三歩、動いた。
見上げた空に、一羽の黒い鳥が飛翔した。
「母だ」と思った。
束の間の自由へ。
私は、人はまたすぐ別の子宮で目を覚ますという言葉を疑っていない。
だから、束の間だと言う。
そう、私がこの日をHappy Dayと書いていたんだ。
だって、母が、肉体的なことから解放され、飛んでったんだ。
いい日だよ。
母の死後、数日間、一緒に過ごした。
最後に母の顔を見た時、かけた言葉は、「もう十分だね、満足だね、さようなら、ありがとう」。