【研究テーマ】
近代日本語の語彙・文法の研究ならびに日本語史資料を対象としたコーパスの構築
日本語には「まことに」「ほんに」「ほんとうに」など、似たような働きをする副詞が数多くありますが、それらがどう役割分担し、古典語から現代に至るまでどう変化してきたのかを考えています。また、日本語史研究のためのコーパスの構築と、それを活用した研究を行っています。
【主な著書・論文】○「『古今集遠鏡』に見られる程度副詞類とその周辺―洒落本での使用状況との比較―」(『コーパスによる日本語史研究 近世編』、2023年)○「副詞「ほんとうに」の展開と「じつに」「まことに」―近代語から現代語へ」(国文学研究188、2019年)○「雑誌『太陽』『明六雑誌』における程度副詞類の使用状況と文体的傾向」(日本語の研究11-2、2015年) ○「近世口語資料のコーパス化─狂言・洒落本のコーパス化の過程と課題」(日本語学33-14、2014年)○「副詞「ほんに」をめぐって―「ほん」とその周辺―」(日本語の研究10-2、2014年)
京都府立大学の近くで出会ったねこ
【研究テーマ】
古代日本語の文字・表記の研究ならびに文字・表記の日本語学史的研究
上代文献において万葉仮名がどのようなルールのもとに使用され、そのルールが真名本など中古以降の万葉仮名を使用する文献にどの程度継承されているかについて研究しています。また、近世の国学者たちが音声言語と文字・表記の関係をどのように捉えていたかにも興味を持っています。
【主な著書・論文】
〇『万葉集の基礎知識』(共著、KADOKAWA、2021)〇「近世後期における万葉仮名の定義:『萬葉集古義』を手がかりに」(『萬葉』234、2022)〇「近世の用字法研究における訓仮名の位置づけ:『古事記伝』の影響に注目して」(『美夫君志』100、2020)〇「『萬葉集』における音仮名と訓仮名:訓字との両用とその影響をめぐって」(『萬葉』228、2019)
【研究テーマ】
連歌を中心とする中世韻文学研究
室町期に全盛を迎えた連歌、中でも作品研究を主眼に据えています。連歌作品読解に付随して、和歌、和漢聯句など周辺の文学・芸能の研究も行っています。
【主な著書・論文】○『心敬十体和歌 : 評釈と研究』(共著、和泉書院、2015年2月)○『良基・絶海・義満等一座和漢聯句譯注』(共著、臨川書店、2009年3月)○「宗牧と宗長」(「国語国文」第79巻第7号、2010年7月)○「南北朝連歌の分析―前句の肝要をめぐって」(「国語国文」第74巻第9号、2005年9月)
【研究テーマ】
平安時代後期の物語・日記・歌集の研究
平安時代というと紫式部や清少納言が有名ですが、その子世代を中心に研究しています。例えば『更級日記』作者はいかなる先行作品に触れて文才を磨いたか、百人一首に撰ばれた歌人紀伊は生前いかなる評価を受けていたかといった、人物交流や社会背景に関心を向けています。
【主な著書・論文】○『更級日記 上洛の記千年 ―東国からの視座』(共著、武蔵野書院、2020年)○「祐子内親王家の女房小弁・紀伊と藤原頼通―母子二代の高名―」(『鳳翔学叢』第20輯、2024年)○「古典和歌を理科の知識と対比させる教材案 ー「水底」と物理・「紅葉」と生物ー」(『高知大国文』第53号、2022年)○「『為仲集』乙本における待遇意識・日付・寛子後宮」(『日本文学研究ジャーナル』第22号、2022年)
【研究テーマ】
平安時代から鎌倉時代にかけての日本漢文学およびその制作者である儒者貴族の研究
歴史史料も参考としながら、平安時代の初期には公的な文学であった漢詩文が中世にかけてどのような展開をしたのか明らかにしたいと考えています。また、各地の寺院などに残る漢詩文史料の調査・研究も行っています。
【主な著書・論文】○『天野山金剛寺善本叢刊第一期第一巻』(共編著、勉誠出版、2017年2月)○「金剛寺蔵『明句肝要』の典拠とその利用」(『説話文学研究』54号「〔シンポジウム〕2018年4月例会「寺院における学問と唱導―天野山金剛寺聖教を起点として」報告」、2019年9月)○「後宇多院の上丁御会をめぐって」(『アジア遊学』229号「文化装置としての漢文学」、2019年2月)○「『和漢兼作集』漢詩撰者考」(『詞林』64号、2018年10月)
【研究テーマ】
元禄期前後における上方(京・大坂)を中心とした浮世草子、ならびに出版書肆・作者に関する研究
元禄時代前後における書肆と作者との関係、また書肆間の競争や確執などについて、主に浮世草子の出版を対象にして研究を進めています。さらに、文芸作者を取り巻く当時の俳壇や演劇界などの状況についても考察しています。
【主な著書・論文】○『浮世草子大事典』(編者、笠間書院、2017年)○『八文字屋本全集』(共著、汲古書院、1994~2000年)○「恋文のゆくえ―『好色一代男』巻一ー二をめぐって」(『国語国文』86‐5、2017年)○「『好色一代男』と『京童』―その挿絵利用の再検討」(『近世文芸』94、2011年)○「正徳三年前後の其磧と八文字屋―時代物の成立と谷村清兵衛・中島又兵衛」(『国語と国文学』80-5、2003年)
京都府立大学に隣接する京都府立植物園の蓮池
【研究テーマ】
説話文学、仏教文学を中心とする宗教文芸
宗教文芸において語られる説話、「おはなし」を、可能な限り通時的に読み解くことを 目指しています。たとえば、仏教的な「おはなし」の場合、経典(漢訳仏典)に淵源を発しつつも、その経典を読み解くための注釈という営為や、法会(セレモニー)という場、絵画などのメディア等を通過することで、さまざまな展開をみせます。そういった「おはなし」の軌跡を、丁寧にたどりたいと思っています。
【主な著書・論文】○佐久間秀範・近本謙介・本井牧子編『玄奘三蔵 新たなる玄奘像をもとめて』(勉誠出版、2021年)○宮井里佳・本井牧子編『金蔵論 本文と研究』(臨川書店、2011年)○「『釈迦堂縁起』とその結構」(『国語国文』86(5)、2017年5月)○「志水文庫蔵『六道変相八大地獄図』―十王・十三仏信仰にもとづく預修斎・融通念仏の遺品―」(『國華』1427、2014年9月)
【研究テーマ】
漢魏晋南北朝文学に関する研究
漢代から魏晋南北朝時代にかけての詩文の様相を、語彙や文体、文学批評、儀礼や音楽との関わりなどを通じて考えています。また中国文学の中で、女性がどのように語られ、それがいかなる意味をもつかという問題や、清末の詩人黄遵憲による『日本雑事詩』についても併せて考察しています。
【主な著書・論文】○『『隋書』音楽志訳注』(共著、和泉書院、2016年)○『増補改訂版 中国女性史入門 中国女性の今と昔』(共著、人文書院、2014年)○「愁いと賦―曹植を中心に―」(『京都府立大学学術報告 人文』69号、2017年)
【研究テーマ】
宋・元・明代における韻文文芸の展開と受容に関する研究
中国にはいわゆる絶句や律詩に代表される詩のほかにも多種多様な形式の韻文が存在し、さまざまな人々によって制作・歌唱されていました。これらの韻文文芸、とりわけ詞や曲と呼ばれるものが、演劇をはじめとする芸能の場や文字で読まれる小説・戯曲作品との関わりのなかで、どのように受容され展開してきたのかという問題について考えています。
【主な著書・論文】○『明代における詞の受容―文字の文学と音の文芸―』(汲古書院、2020年) ○「雑劇における詞―度脱劇「劉行首」をめぐってー」(『風絮』19、2022年)○『中国俗文学史』(共訳、東方書店、2023年)