ご挨拶
代表:松岡 弥生子 Yaoko Matsuoka, PhD. (University Of The People)
皆様、こんにちは。「JACET AIと大学英語教育SIG」を立ち上げて2年目に入りました。ChatGPTなど生成AIの出現と浸透により、今、日本の大学英語教育は、大きな転換期を迎えています。自動採点などによって授業運営の効率化が進み、興味を引くアクティビティが簡単に授業に取り入れられるようになり、情報収集や翻訳機能を使って高度な文章を即座に生成することも可能になりました。英語授業にも変革が求められており、近い将来、学生が教室で一緒に学ぶ形態が無くなって、AI家庭教師による個人学習が一般化する時代が来るかもしれません。AIの問題は、私たち教育者が一丸となって取り組まなければならない緊急の課題です。
このSIGでは、AIの有効活用の推進と、AIのリスク・問題点への対応という両方に焦点を当て、広い視点からディスカッションを行い、共に学び、知見を深めることを目的としています。AIの専門知識をシェアしてくださる先生方、まだ専門知識はないが興味があるという先生方、多くの皆様のご参加を、お待ちしています。
[簡易履歴]
大学英語教育に長く携わり、國學院大學、国際基督教大学教育研究所を経て、現在は米国の非営利型オンライン大学University Of The Peopleで教える。現在の研究テーマは、第二言語習得に関わるAIの役割と影響、L2ライティングとAI、OERとオープンネス、教師ビリーフなど。
https://researchmap.jp/Yaoko-Matsuoka
副代表:井田 浩之 Hiroyuki Ida, PhD.(北九州市立大学)
生成AIの登場によって、私たちの読み・書きの行為が劇的に変わるかもしれない時代を生きています。そのスピードは想像もつかないぐらい早く、人間とテクノロジの境界がますます曖昧になっていき、《技術決定論》が輪郭を作っているようにも思われます。でも本当にそうなのでしょうか?
本SIGは理論的・実践的に、背景の異なる人が自由に議論し、AI―人間―英語教育の関係を深めていくためのアゴラとして創設されました。皆様と議論できることを楽しみにしております。
[簡易履歴]
英語教育・応用言語学,高等教育などが専門です。特定場面での言語使用に関心があります。大学生がビジネスコミュニケーションについて学ぶ中でのさまざまな現象を研究しています。最近ではAIが社会にもたらすインパクトについて検討を開始しています。現在は北九州市立大学准教授,城西大学非常勤です。
https://researchmap.jp/hiroyuki-london
副代表:ラングリッツ・メレディス Meredith Langlitz(名城大学)
JACET の この SIG に参加させていただいた経緯は、ある学会で「Machine Translation と外国語教育について考える」という研究グループを立ち上げており、「もっと発展させたい」と思ったのがきっかけです。生成AIの登場により、あらゆる面で人間の存在意義が問われています。とは言え、プロンプトを入力するのは人間です。「AI と人間との融合」の時代の到来です。我々大学教員は、AI の何を認知しており、どのような意識を持っているか、教育現場でどう使用していくのか、間違えることでの気づき、入試への導入、等々、「AI に対する大学教員の認識や意識」に関心を持ち、アンケートを実施しています。2024年10月から2025年4月時点での回答を見受けた印象は、わずか半年間で変化があるという点です。生成AIは日進月歩です。これに追いつけ追い越せで、うまく活用していく手段を、皆様と一緒に議論していければと考えております。
[簡易略歴]
物理学、比較文学及び比較文化論、心理学、翻訳論、AI を専門としています。どの学問領域もリンクしている、と考えております。多様なアルゴリズムとプログラミングによって、"evidence-based" の研究アプローチを心掛けております。モットーは "IMPROVEMENT" (「常に進化すること」)です。AI を学ぶことによって、他の分野との比較対照も可能になり、益々楽しみが増しております。