未来創造計画2025

IYEOのより良い未来を考えるきっかけづくりをする会議、それが未来創造会議です。熱意あふれる若手会員30名超が2021年3月から、互いの思いや意見を分かち合い、IYEOの未来、IYEOが貢献できる未来について、毎週オンラインで議論してきました。5か月後の8月、それが一つの形となったのが、未来創造計画2025です。未来創造計画2025は、2021年8月9日(月)にIYEOの幹事会に提出され、9月18日(土)に第76回IYEO全国推進会議にて、各都道府県IYEOにも報告されました。


全体は100スライドを超える大作になりましたが、内閣府⻘年国際交流事業の事後活動組織IYEO。運営もボランティア、活動もボランティアという、世界で類を見ない形を持つIYEOが組織として創りたい未来は何か?その未来のために、IYEOがどんな組織・活動の場であればよいか?IYEOの、そして今後の社会の中核を担う20代・30代の会員の提言と熱意、ご覧ください。


<「未来創造計画2025」の構成>

第0章 はじめに

第1章 笑顔の輪プロジェクト(外国につながりのある人)

第2章 異文化理解プロジェクト(異文化理解)

第3章 地域のいいとこみっけプロジェクト(地域発信)

第4章 キャリア教育プロジェクト(教育成長)

第5章 活動基盤プロジェクト(活動基盤)

000_(全体印刷用)210809 未来創造計画2025.pdf


これを受けてIYEOは、IYEOとしての来年度以降の中期運営計画策定を年度末に行うため、議論を進めていくことになります。

IYEO の未来創造は既に始まっています。計画作成後、次のアクションに歩みを進めている未来創造会議メンバーやチームに共感してくださる会員の皆さん、一緒に未来を創りませんか?

https://youtu.be/bs9Qgqp_0y8

第0章:はじめに

第1章:笑顔の輪プロジェクト(外国につながりのある人)

01_(第1章)笑顔の輪プロジェクト(外国につながりのある人).pdf

IYEO には、内閣府青年国際交流事業への参加等を通じ、外国人との交流に価値を感じている会員が多い。一方で、日本にいる地域の外国につながりのある人に対して、そのIYEO の強みを「組織として」活かせているだろうか。

コロナ禍に至った今であっても、勉強や仕事を求めて日本で暮らしている外国にルーツを持つ人及びその家族は多い。子育て、学校、居場所、災害時など、「文化の違い」と言えば一言であるが、その違いに戸惑ったり悩んだりする人は多い。

自治体や、大学、国際交流財団など、あらゆるアクターが、いわゆる外国につながりのある人のサポートを提供しているが、一方で、IYEO は、その強みを活かして出来ることはあるだろうか。そしてあるとしたら、それはボランティア団体でも持続的に、かつ全国的に出来ることだろうか。

このテーマでは、今後も増えていくであろう、地域の外国につながりのある人の「安心」に対して、IYEO 全体として貢献できる未来を創造する。

第2章:異文化理解プロジェクト(異文化理解)

02_(第2章)異文化理解プロジェクト(異文化理解).pdf

内閣府の青年国際交流事業が始まった60 年前と比べると、格段に海外との距離は近くなった。IYEO の会員も、コロナ禍になる前は、内閣府青年国際交流事業への参加等を通じ、海外を身近に感じ、異文化理解・国際理解の重要性を肌身で感じた方が多いだろう。

ただ、日本の各地域には、まだまだ海外に興味はあるが、リソース(時間・お金・人・知識等)がなくて触れる機会がない人がたくさんいる(地方受入れでつながるローカルユースやホストファミリーに手を上げるのもそんな人たちが多いかもしれない)。それ以前に、まだ国際交流の価値を知らない人も多いかもしれない。そのような人たちにIYEO が「組織として」貢献できることは何だろうか。

一つの「イベント」を開催することは一つの活動成果である。ただ、そこで得た異文化理解・国際理解を通じて、「多文化共生社会」に向けて、参加者の行動を変えることまでは1回の「イベント」ではなかなか難しい。

ボランティア団体であり、持続的な活動基盤が弱いIYEO が、異文化理解・国際理解促進の活動を、参加者の行動を変える「プロセス」としていくにはどうしたら良いだろうか。

このテーマでは、日本の地域の子ども・中高生・大人の「異文化理解」・「国際理解」に対して、IYEO 全体として貢献できる未来を創造する。

第3章:地域のいいとこみっけプロジェクト(地域発信)

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「各地域の魅力や良さを発信したい」。IYEO 活動でこの熱い言葉を耳にすることも多い。

では、「IYEO だからできる地域の魅力発信」とは何だろうか。IYEO はあくまで内閣府青年国際交流事業を核に集まった団体である。「観光地を紹介して、また来てもらおう。」だけでは、観光を専門とした企業・団体にはかなわないかもしれない。一つの「イベント」を開催することは一つの活動成果であるが、そこで得た地域の魅力を通じて、「地域への誇りや当事者意識を持つ社会」に向けて、参加者の行動を変える「プロセス」になるには、1回の「イベント」ではなかなか難しい。

しかし、我々は、内閣府青年国際交流事業という強烈な異文化体験・交流や、地方プログラム受入れを通じ、「日本の良さって何だろう」「自分の地元の良さって何だろう」と強く思った。「それを説明できないって恥ずかしいな」と思った人も少なくないだろう。

このような「アイデンティティ体験」を持つメンバーの豊富さに加え、IYEO には、地方プログラムやブロックイベント等を通じ、地域の行政や学校・大学、「地域で活躍する人」とのネットワークを持っている都道府県も多いし、そもそも各都道府県にIYEO が存在することも、コラボレーションや好事例を共有するなどを可能にする、強みなのかもしれない。

このテーマでは、日本の各地域の魅力や良さの発掘・発信に対して、IYEO 全体として貢献できる未来を創造する。

第4章:キャリア教育プロジェクト(教育成長)

04_(第4章)キャリア教育プロジェクト(教育成長).pdf

IYEO におけるいわゆる「アクティブ会員」には、人材育成に関心のある会員が多い。

内閣府青年国際交流事業が「Life-changing Experience」と呼ばれるように、強烈な異文化体験・交流などを通じ、「自分とは何者か」という「アイデンティティ」を深く考えたり、人生観が変わったりした経験を持つ人が多いからかもしれない。

IYEO には、下は学生から、上は80 代まで、幅広いの会員が、全国に散らばっている。それぞれのキャリアも様々であり、活動を続けていると、「実はあの人も既参加青年ですよ」という話を耳にすることも多い。

「キャリア教育」と言ってもその対象は中高生、大学生、大人と幅広く、分野・テーマも幅広い。これは、参加者のニーズが幅広く、それに対応した場の提供の難しさを意味する。

世代の広さ、全国ネットワーク、豊富な海外経験者、人生観の全く違う留学生や外国参加青年とのつながり・・。人材育成、キャリア教育に活かせるIYEO の強みはあると思われるが、厳密には何を、どのように活かせるだろうか。そして、「IYEO だからできる人材育成・互いの成長の場の提供」とは何だろうか。

このテーマでは、今後ますます多様化する社会を生きる人たちの「キャリア形成」に、IYEO 全体として貢献できる未来を創造する。

第5章:活動基盤プロジェクト(活動基盤)

05_(第5章)活動基盤プロジェクト(活動基盤).pdf

「多文化共生社会」。多くのIYEO 会員が理想とする未来かもしれない。事実、「共生社会の実現に向けて、生きる力を発揮しよう」が、現在のIYEO の活動スローガンであり、本テーマ以外の未来創造テーマも、これに資するものと言える。

ただし、「多文化共生社会」の実現のためには、「マイノリティ」の方も暮らしやすいまち、持続可能な社会、環境保護、・・・、まだまだ幅広い課題がある。これらの課題や、今後も現れるだろう社会課題に、IYEO はどう貢献できるだろうか。

そもそも、これら全ての社会課題にIYEO が貢献できるかはわからない。ただ、内閣府事業の60 年の歴史で培われた、世代・都道府県を超え、社会貢献に熱意のある人材がIYEO の財産である。

この減ることのない財産を活かして、都道府県や世代を超えて、プロジェクトが次々に生み出される基盤ができれば、今回は未来創造テーマに取り上げられなかった課題に対しても、今後、IYEO が持続的かつ全国的に貢献できる団体になるのではないか。

しかし、残念ながら今のIYEO の現実とは差がある。会員のネットワークは、既にあっても都道府県単位や、事業単位、同期等のネットワークが独立して存在し、かつ、各会員がどのような活動をしているかは、自己申告や人づてでしかわからない。Alumnote やカーボンアプリなど、一元的なネットワークアプリが今後完成しても、会員は、IYEO のネットワークや活動に魅力を感じなければ、わざわざ登録しないし、活用もしない。

財源に関しても、これまでの地方プログラムやブロックイベント等の都道府県単位の活動では、内閣府の補助と県会費で賄え、必ずしも資金調達は必要なかった。他の都道府県の活動も、時々情報共有すれば特段支障はなかった。

今後、都道府県や世代を越えたプロジェクトが生まれ、IYEO が持続的かつ全国的に社会貢献を行っていくには、都道府県内の人材はもちろん、必ず他の都道府県IYEO の活動、IYEO 会員の活動の把握、そして県会費の枠を超えた活動資金調達が必要になる。コロナ禍でオンライン化も進む中、基盤が整備できれば、このような都道府県や世代の枠を超えた活動と、各都道府県IYEO の活動、双方が刺激し合える仕組みも作れるかもしれない。

このテーマでは、多文化共生社会の実現に向け、今後も生まれてくるであろう会員の熱意に、IYEO 全体として持続的に貢献できる未来を創造する。