第3回目
[2020年1月16日(土) 10:30~12:30]
講師:小田川 綾音氏
「外国にルーツのある子どもの在留資格や国籍に関する相談支援 」
今回のオンラインセミナーには、全国から約70名にご参加いただきました。
講師には、いずみ橋法律事務所、弁護士の小田川綾音氏をお招きし、外国にルーツのある子どもの在留資格や国籍に関する相談支援をテーマに、相談時の留意点や活用できる制度等についてお話いただきました。
ISSJからはスタッフの山口が事例紹介を行い、実際に関わった無国児童のケースを共有しました。
セミナー後の参加者アンケートでは、今回も高い満足度を得られました(回答者全員が満足/ やや満足を選択)。
また、子どもの無国籍(状態)を解消するために、外部の機関・専門家との連携は必要と全員が回答されていました。
今回のセミナーで紹介された、日本における無国籍者や無国籍の可能性のある当事者の事例を分析した『日本における無国籍者―類型論的調査―』(UNHCR駐日事務所 2017年)のPDFはこちらです。
また、小田川先生が関わられた無国籍児童の一ケースは、 ウェブマガジン「日本複雑紀行」(認定NPO法人難民支援協会)に詳しく紹介されています。
以下のリンクからご覧ください。
『日本と台湾の狭間で「無国籍」を生きた少年』(2020年7月30日)
【小田川先生の講義ポイント】
『外国にルーツのある子どもの在留資格や国籍に関する相談支援 』
1. 外国にルーツのある子どもの人生に、国籍や在留資格は、どのような影響を与えるのか
- 日本において国籍が問題となる場合: 結婚や出産
- 外国籍だけれど、在留資格がない場合
- 外国籍(のはず)だけど、本国に登録がない場合
2. 弁護士による法的手続きの支援、ケース紹介
- 在留資格維持のための資格更新や変更
- 日本国籍取得の方法
- 弁護士費用(委託援助・法テラス)
3. 弁護士による法的手続き支援において、児相職員や児童養護施設の方たちと連携する意義
- 児童養護施設の職員が、当事者と弁護士とをつなぐ架け橋、意思疎通を円滑にしてくれたり、必要な手続きについての同行で協力してもらえたりする。
- 職員と弁護士の良い連携があると、その関係性が当事者本人のセーフティーネットと精神的支えになる。
【事例紹介】
無国籍の新生児が、養子縁組前提の家庭養育につながるまでの事例(多機関の連携支援)
子どもと実母への支援の中で、児童相談所、乳児院、行政、養親候補者などと連携し、気をつけていたこと、改めて学んだことを振り返りました。
【参加者アンケート結果 一部記載(38件の回答)】
※ご協力頂いた皆様ありがとうございました
1. 子どもが無国籍(状態)であることについて、相談・支援したことがある場合、または今後支援すると想定される場合に、困難と思われる内容(複数回答可)
2. 無国籍の課題について、外部の機関や専門家と連携する際の困難な点
(複数回答可)
3. 回答者の所属機関
参加した方々からのアンケートでは、以下のようなコメントもいただきました。
「多様な家族の形があれば、その分その家族が壊れたときに個々人・社会が直面する課題は、従来の想定を超える内容や量になるのだと思います。そのことを前提として今回お話のあった連携機能(専門機関を繋ぐ機能)をもっと作り、それを担う人材育成が必要だと思いました。」
「地方にいては学ぶ機会を得るのが難しいテーマをオンラインで受講できて、大変ありがたかったです。無国籍の子どもたちの在留資格取得は、困難であっても未来につながることで、希望のもてる支援だと改めて感じました。」
「18歳で無国籍のまま施設を巣立つということがないよう、子どもの権利取得を周囲の支援者が支えたいと思いました」
ご参加頂いた皆様ありがとうございました。