一色能独自の「神楽(しんがく)」が終わるといよいよ一色能独自の「翁舞」が始まります。
神楽がある為と思いますが「一色の翁舞」では、曲の中の「總角(あげまき)や・・・」より謡い出し、型にも変わったものが見られます。能に携わる者にとって翁は、重要な曲で口伝も多いです。
一色では代々地元在住の大夫が心身ともに浄め、天下泰平を寿いで五穀豊穣を神に祈ります。
最初に、この神楽が披露されます。これは、日本で演技されている能「翁」の中でも、一色能独自の構成です。一色能が呪師の流れを汲んでいることを物語っているとのことです。
鳥兜(とりかぶと)を付けて、右手にばちをとり、左手に鈴を提(さ)げ、四方拝に続き四方堅めの神事を行い、神慮を慰め祈りを捧げ一通りの儀式行った後に翁が始まります。
この一色の翁は、日本歌舞史上に貴重な存在であった呪師が滅亡した現在、神楽と云う儀式にその面影をとどめており、平成七年十二月に国選択無形民俗文化財に指定されました。
(この絵は一色町能楽保存会の会員の方が描いたものです。一色能のみを色紙等に描いています。)