1)コムギの短稈化
「春よ恋」、「ゆめちから」といった現行コムギ品種は、「緑の革命」による短稈化を経て耐倒伏性を獲得している。「緑の革命」ではRht1変異が導入され生長ホルモンであるジベレリンに対する応答性が低下しています。一方、イネの「緑の革命」では、ジベレリンの生合成の変異であるsd1変異が導入されました。もし、原稿のコムギ品種にsd1変異も同時に導入するとどうなるでしょうか?さらなる短稈化が図られるのではないでしょうか。しかし、sd1変異は潜性(劣性)変異であるため、6倍体である(ゲノムが3種類ある)コムギに導入するのは極めて困難でした。そこで、ゲノム編集の力を借り、3つのゲノムに同時にsd1変異を導入する荒技に挑戦しました。その結果、3つのゲノム(A,B,D)に変異が入った系統が得られ、現行品種である「春よ恋」をさらに10%以上短稈化させることに成功しました。この方法を用いれば、現在の国内コムギ品種の殆どを短稈化することが原理的に可能となり、収量の増大が期待できます。
3)イネにおける低温ストレスシグナル伝達機構の解明
4)植物におけるトレハロースの分子機能解明