RESEARCH

デリバリー技術

1)in plant Particle Bombardment(iPB)法

私たちは,株式会社カネカと共同で広い範囲の作物種でゲノム編集を可能にする新技術iPB法を開発しました.iPB法は金粒子を介して,ゲノム編集酵素を茎頂組織にデリバリーします.したがって,植物体をそのままゲノム編集することができます.その大きなメリットは,細胞培養を必要としないため,これまでは培養が困難だった多くの作物品種においてもゲノム編集が可能になったことです.例えば,コムギにおいては,従来の技術ですと海外の一部の品種でしかゲノム編集はできませんでしたが,iPB法を用いると,国内のあらゆる品種に適用できます.また,これまでゲノム編集が困難だった果樹や野菜においてもiPB法が使えることがわかってきました.


iPB法の原理は次の通りです.

  • 植物の芽の先端にある茎頂と呼ばれる組織は,3層構造になっており,上から2層目の細胞層(L2細胞)が将来花が形成されるときに花粉や胚のう細胞に分化する.

  • したがってL2細胞に遺伝的な変化を与えれば,その変化は花の形成を通じて種子に遺伝する.

  • 金粒子にゲノム編集酵素を付着させ,高速で茎頂組織に打ち込むと,L2細胞に達して,そこでゲノム編集を起こすことができる.


*本技術を利用した作物開発を共同研究で進めております.興味のある民間企業,大学等の研究者の方は,今井までお問い合わせください.