このページは詩歌藩国の鈴藤 瑞樹さんからの寄稿文章です。
鈴藤さんが、実際のゲームでの経験を題材に、芝村さんへ直接アクションを宣言する時、どのように考えて行動したかを解説したものになります。
※ここはタンコグラード未参加の人向けなので、当時の状況を把握している人は読み飛ばしても大丈夫です
まず、状況の説明をします
芝村さんがカクヨムで連載しているお話、古歌集(リンク)という物語があります。
この物語は無名世界観の一部であり、最初の世界である「ファー」の成立や先代シオネアラダの生い立ちなどを描いています。
この古歌集の連載中にソロゲーム「タンコグラード」が勃発したのが問題の始まりです。
戦車に乗って敵を倒し、ステージをクリアしていくゲームだったタンコグラードですが、このゲームを遊んだプレイヤーの一部が古歌集に登場するという事態が発生しました。
また、登場したプレイヤーは介入権限が付与され、ワンアクションのみ行動宣言がゆるされるということが発覚したため、古歌集の問題解決(人命救助など)を目指してプレイヤーたちが知恵を振り絞る展開となりました。
以下の文章はアイドレスプレイヤーの鈴藤 瑞樹ことタンコグラードのキャラクター「フジスズー」が古歌集に登場した際の行動記録です。
参考:ツイッターでの戦闘ログ(リンク)
フジスズーの行動提出をするまでの8時間で実際にどういうことを考え、どういうプレイングをしたのかをメモしておきます。
うっかりオンステージしてしまった新人さんなどがいた場合の役にたてばいいなぁという気持ちです。
まず参考になるレポートから紹介します。
青狸さんからの戦略レポート(リンク)
ぶっちゃけこの青狸さんレポートをそのままなぞればだいたい勝てますが、実際には時間制限や情報収集の部分で差異があるのでそこを説明します。
まず芝村さんから介入限界のツイートが出た直後にツイッターで #アイドレス と #タンコグラード のタグを使いプレイヤー全体への周知と「困っているので助けてほしい」ということを書き込みました。
またチャットワークの星見部屋にも書き込みをして話し合いの場として使わせてもらいました。
これで青狸さんレポートでいうところの「情報を集めて分析しよう&足りない情報は集めに行こう」の部分が全プレイヤーによって開始されます。
情報の収集と分析が進んでいるうちに厄介ごとを片付けておきます。特に介入限界ギリギリのタイミングでやることがあると困るのでなんとかして解消しましょう。
鈴藤は夕飯のかぼちゃを煮ていました。
リアルの用事を片付けたら以下のページ(リンク)を開きます。
GENZさんが公開している無名世界観プレイヤーリストです。
ここにほとんどのプレイヤーが登録されているので、これをさかのぼって出ている意見をざっと流し読みして
1、多数派の意見はどんなものか
2、気になった(鋭いと思った)意見はあるか
のふたつについて気にしながら読んでいき場合によってはメモをとります。
実際に多かった意見はざっくりだと
「ヨシュアとグロリカを連れて後方に下がったほうが良いのでは」と
「このまま進むと何かまずいことがおこるのでは」というふたつでした。
多数派の意見を重視する理由は、多くの人が考えていることはだいたいにおいて無理がない妥当な意見であるからです。
もちろん少数意見のほうがじつは正解だったという事例もありますが、あまり数は多くないのでおいておきます。
次に気になった(鋭いと思った)意見についてですが、いくつかある中で特に助かったものを紹介すると
フィーブルさんの「24時間の介入時間で大した質疑もなく、そこまで難しいアクションが求められるとも思えない」というものです。
このツイートを見て、星見司の方々やそれに準ずるような高度な無名世界観知識を使った意見についてはばっさり切り捨てることにしました。
また情報収集のために芝村さんにいくつか質疑を出し、回答をいただきました。
いただいた回答についてはもちろん情報として貴重でしたが、それ以上に貴重だったのは「回答までに数時間のタイムラグがあった」ということです。
最初に出した質疑は15時頃、これに回答があったのが18時半頃で、3時間半の空白があります。
時間制限がある中で早急な回答がもらえないのは困るのはたしかですが、逆に考えれば「そこまで質疑を使わなくても解決できる問題である」とも言えます。
これはさきほどのフィーブルさんの意見を裏付けるものでもあり、多数派意見もかんがみて前進と後退であれば後退を選んだほうが良さそう、という考えに傾いてきました。
ほかに助かった事例を上げると、鈴藤個人以外に質疑を出してくださった方がいることでした。
まずミサさんのヤガミ救出についての質疑で「すでに結果は出ており、何もやることはない」という回答があったことでした。
フジスズーの選択肢としてヤガミ救出に動けるのでは? という意見も多かったのですが、この質疑回答により選択肢から除外しました。
またm.sottaさん(瞬とドリスを回収した小田桐 諏訪郎さんのプレイヤー)の質疑にも大変助けられました。
sottaさんが自分が後方へ向かって移動中なのか、という質疑に対してすでに後方にいる、という回答があったことから、後退するために諏訪郎さんの戦車を探して護衛しながら後方に下がればいいのでは、という案が使えないことがわかりました。
この情報は本当に助かったので個人的にナイスプレイと褒めさせてください。sottaさんありがとうございました。
また助言や意見のほかに助かったこととして、和錆さんからの
「アイドレスの設定が使えるなら車内で応急処置や治療はやれると思うし、喜んで手伝うのでこのツイート根拠でいつでも使ってもらって大丈夫です」という申し出でした。
これにより万が一にACEが怪我をした場合などに対処できる手札が増えてありがたかったです。
さらに言えば介入限界が示されてから一時間とかからないうちに届いたので制限時間がある今回のパターンではさらにありがたい動きだったと言えます。
ほかには何名かの方からDMなども届きました。
内容は情報の提供や相談など様々でしたが、いずれにしても心配して連絡をとってくれたというのはありがたいことで、それだけでも精神的に助かりました。
集まった情報からなにをクリア目標にするかを考えてみます。
・ヤガミ救出は結果が出ているので手を出さない
・瞬が危険そうなのでできればグロリカと会わせたい
・ヨシュアとグロリカは前線で戦いたい
・タンコグラードに古歌集のキャラクターは出ていなかった
・タンコグラードをなぞるなら古歌集のキャラクターは戦場から遠ざけたほうが良い
・介入限界が早いので極端に難しい問題ではないはず
ほかにもいろいろありましたが、だいたいこのあたりの情報を組み合わせて目的を「ヨシュアとグロリカを後方に連れて行き、あわよくば瞬とグロリカを再会させる」
ということを目的として設定しました。
また目的を達成するために解決しなければならない課題がひとつあり、これを小目標として設定しました。
すなわち「ヨシュアとグロリカを後方に連れていきたいが、前線に向かいたい二人を納得させる方法を考える」でした。
二人を説得する際、最悪のパターンは二人がフジスズーを見限って前線に向かい行方不明、というパターンだったのでこれを避けるためにまず「嘘をつかない」ことを決めました。
ACEはAIが考えて行動していることは広く知られていますが、彼らも人間同様に嘘をついたとわかった相手を信用してくれることはほとんどありません。
これは複数の方からいただいた意見ですが
・敵が後方を嫌がらせ目的で攻撃するかもしれないので救助に向かうのはどうか
・スーパーカレン二世号の電子機器が壊れているのを理由に整備のため下がれないか
このふたつを軸に二人を説得することにしました。
そして最終的に提出した行動宣言は
「後方に嫌がらせで攻撃されたら大勢死ぬので補給と整備も兼ねて一度下がりたい、とヨシュアとグロリカを説得してうまくいったら行動に移したいと思います。説得失敗したら諦めて3人で前進します。
実際にヨシュアとグロリカと話はできますか? 説得がしたいです」
となりました。
最後の一行にある話はできますか、というのはAIとして二人が存在しているのであれば会話して説得できるのでは、という悪あがきでしたがこれが不要であったことはみなさんもご存知の通りです。
外つ歌 フジスズーの判断(完全版):リンク
以上が鈴藤のプレイング詳細でしたが、青狸さんレポートと見比べてわかる通り抜けやミスがあるので(会議窓に置いておいて「他の人に見せて指摘が特になかったからみんなOKってことだな!」の部分など)完璧とは言えないつたないプレイングだったと思います。
それでもなんとかクリアできたのは助力してくれた大勢のプレイヤーのおかげであると思っています。
仮にこの文章を読んだ誰かがゲームの舞台に登壇したとしても、きっと大勢のプレイヤーが助けてくれます。
一人では無理でもたくさんの人が助けてくれれば、わりと勝てます。
いつかその時がきた場合のために、この文章が役に立てば幸いです。