Yomu

- 思考を広げる本棚 -

吉田 賢    2021

図書館来館者は意外な一冊との出会いを求めている。そして意外な一冊を求めるからこそ、本を探している時間を楽しんでいる。しかし図書館は日本十進分類法による整理方法で本を並べており、当たり前のことかもしれないのですが、本棚は本を入れるためだけの棚として機能している。そして本棚の課題として来館者の方が今まで手に取ることのないような本と出会う魅力や、本を探す・並べる行動において「どんな本があるのだろう?」というような「面白さ」を考えた。これらの課題を踏まえて、私は本棚を通じて本同士の関連性を展開していけば、意外な一冊との出会いを提供できるのではないか?という仮説を立てました。コンセプトは「思考の広がり」です。一文、一行、一冊から広がる思考・経験をマインドマップのように展開し、意味ある本棚を作り出します。デザインに関して、多方向に展開できる正三角形のユニットで構成され、ステンレス板と木板による厚みの異なる材料によって関連性の繋がりや視線の流れを表現しました。また中心となる一冊を主張させるために木板に溝を掘り、A4サイズの雑誌など一番印象を与える表紙が見えるようにしました。構造としてはボルトによって固定されており、思考の広がりを通じて独自の本棚を創り出すことを可能にしています。また本以外にも本に関連するグッズやモノといった思考の広がりを通じた言葉とは異なる自己表現を可能としています。Yomuが生み出す思考の広がりが意外な一冊との出会いを導きます。