クラミドモナスについて

F: 鞭毛 N:核 E:眼点 C:葉緑体 P:ピレノイド

クラミドモナスは2本の鞭毛を持つ緑藻です。この生物はモデル生物として下に挙げたようなメリットを持ち、 鞭毛の構築と運動機構の研究において分野を先導する立場にあります。


  • 通常は一倍体で増殖するため、ミュータントの作成が容易。
  • 有性生殖を行うため、四分子解析などの古典的遺伝学の手法が使える。
  • ゲノム、EST、プロテオーム等のデータベースが整備されている。
  • 外来遺伝子を形質転換する実験系が整備されている。
  • 培養スケールを容易に増やすことができ、鞭毛タンパク質の生化学的解析が行える。


最近の研究によれば、クラミドモナスの鞭毛関連遺伝子のほとんどは哺乳類にホモログが存在し、そのいくつかはヒトの遺伝病として古くから知られている不動繊毛症候群(男性不妊症、慢性の気管支炎などの症状を示す)の原因遺伝子であると言われています。

また、最近、腎臓疾患や内臓逆位など、これまで鞭毛・繊毛とは直接関連づけられていなかった疾患との関連も見いだされ、クラミドモナスを用いた研究は医学分野からも注目されています。