ひだまりカフェのレシピ[08]
“自分への反抗期”
ひだまりカフェのレシピ[08]
“自分への反抗期”
今年は寒く長い冬でした。寒いのは苦手とおっしゃる何人かの本人さんたちのお顔が目に浮かび、あまり苦戦をしていませんようにと祈る思いで過ごしました。今、ようやく空の色が春めいて、よい季節の到来が待たれます。
さて、今回のレシピ、メールのやり取りをしているある本人さんのお言葉です。若い彼女は少しずつ少しずつ食べることとの折り合いをつけている毎日のようです。
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そんな彼女からのメールに、「私は反抗期が無かったのではなく、昔から今迄も長い間反抗期だったんだ、ただ、それをあてる先が自分だっただけ、もう卒業しようと何となく思いました。」とありました。
ご家族も精一杯のご努力を払いながら生活をしていらっしゃる環境の中で、やさしい彼女には誰にも反抗の気持ちを向けることが出来なかったのでしょう。自分にあてるしかなかった反抗=拒食というのは伺ってとても切ない気がしました。けれど、「自分への反抗期」と言葉にしてみることによって、ご自分の状態を少し距離を置いて眺めることが出来たのでしょうね。食べることへの抵抗がほんのちょっとだけ減ったと書いてありました。
話し合ったり、本を読んだり、書いてみたり、ふと思いついたり…。いろいろなきっかけで小さな“気付き”が訪れます。この“気付き”が変化への扉。それを頭の中だけのことに留めずに、何かちょっとだけでも行動を変えてみませんか。例えば差し障りのない場面で他の人にノーといってみるとか(最初は電話勧誘なんかに対してでもよいから)、意識してちょっと悪い子を演じてみるとか。きっと怖れていたほど大変なことは起こらないのではないかしら。そうやって、一つずつ、大丈夫大丈夫と確認しながら前に進んでいってみて下さい。
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これは私の話ですが、あるワークショップで面白い体験をしました。二人の人が向き合って立ち、間にいるもう一人が直立して前後に揺れるのを、手で支えて押し返すというワーク。真ん中で揺れてみた私は、支え手の一人に「まるで冷凍肉のようでしたよ!」と言われてしまいました。たぶん、どの位自分の身体が他の人のサポートを信頼出来ているのかを知るために作られたこのワークで、私は自分がどれだけ世の中に対して身構えて暮らしているかに気付かされました。“身構える”、そう、身体が先に反応してしまっているのですよね。そして、“冷凍肉!”、まわりから見てその反応は、どれだけ冷たく硬いものに感じられていたことか!「大丈夫!」、「出来ます!」、「私はいい子です!」なんてことがね。
たぶん、摂食障害の症状の主な原因も、身体の中に積み重ねられたこわばりの記憶や行動パターン。身体は頭よりずっと不器用ですから、気付いた!じゃあ、わかったと簡単に変れるものではないけれど、少しずつ少しずつ練習を繰り返すうちに新しい行動パターンが出来てくる。揺れる毎に暖かくしっかりした手に支えられてだんだん自然に力が抜けるようになる。凍った身体もとけてくる。すると食へのこだわりも緩んでくる。
自分に反抗するしかなかった彼女にも、冷凍肉の私にも、たぶんそうせざるをえない“事情”はあったのでしょう。でも、今はもうそこから自由になってもよいときです。どうぞ、何かにしがみつかなくても、こわばらなくても大丈夫なのだという経験を沢山積んで身体に覚えこませてやって下さい。
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私たちのひだまりカフェも、そうした身体と生き方のこわばりを、お互いに、お日様の光のように暖かく支えて自然にとかす場でありたいと願っています。
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MK/yy[201404ひだまりカフェbooklet No.14掲載]
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