ひだまりカフェのレシピ[07]
“まんまでいいじゃん!”
ひだまりカフェのレシピ[07]
“まんまでいいじゃん!”
今までひだまりカフェのミーティングでは、どうやって食の症状を止めるかということよりもむしろ、安定した心の土台作りや、その心を支える周りの環境の整備に工夫することなどを中心に話をしてきました。というのは、個人の意志の力だけで食の症状を止めるのはなかなか難しく、入院による治療や常時ミーティングのある自助グループなど外側からの支えが必要な場合が多いからです。でも、やはり皆さん、症状が止まったという方の話は聞いてみたいですよね。
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そこで今回は、しばらく食の症状が止まっているという本人会の参加者にお願いして、何故過食嘔吐が止まったと思うか伺ってみました。このAさんは、他の自助グループの先行く仲間(回復の先輩)にいろいろ相談にのってもらい、素敵な人だなあ、あんな風になりたいなぁと思ったこと、その人から「まんまでいいじゃん、もっと素直になっていいんだよ!正直になっていいんだよ!もっと自分のこと大切にしていいんだよ!」と言われたことが大きかったとおっしゃっていました。
それまでは、感情をすべて食べ物にぶつけていた、怒ると吐くことで怒りを鎮める、寂しければ何かを口に入れて紛らわす、そうやって気持ちのやりくりをしてきた。でも、まんまでいいんだと思ったら初めて、アンテナを張る必要はない、過敏に反応しなくてもよいと思えるようになり、とりあえず、「まぁ、いいか…。」と感情の先送りが出来るようになったのだそうです。また、それまでは気兼ねして言えなかったことも、少しずつ言えるようになってきたともおっしゃっていました。
そして、もういいかな、ちょっと太ってもいいやと思うようになり、試しにケーキを食べてみたら別に体重が増えるわけでもなかった。だんだんに食べ方も変わってきて、アイスも安くて量が多いのから、高いのを一つだけになった。がっつりご飯から、好きなだけ食べればよいになった。そのうち、苦しいし、過食嘔吐出来ない、食べたら疲れて寝てしまうということが多くなってきたのだそうです。
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まだ、回復の途上のようでしたが、Aさんのお話の中には心の状態と食の症状の関係を考えるヒントが沢山含まれているように思います。まず、信頼できる人に自分の状態や気持ちを話し、理解してもらえたことで、気持ちがほぐれ、暮らしの中での身構えを緩められたこと。“まんまの”自分を大切にと考えられるようになり、自分の気持ちを言葉にして他の人に伝えることが出来るようになってきたこと。そうなってくると、これは、他の方からも聞いたことがあるのですが、自然に少しずつ食へのこだわりが緩んでくるもののようです。「まぁ、いいか。」がだんだんに増えてきて、自分の意志で食生活を変化させることが出来始める。その結果、ある程度食べても太らないと身をもって知り、安心する。その結果、その先のチャレンジがまた出来る。頑張っても頑張っても症状が止められなくて自己嫌悪という悪循環から、違うサイクルへの移行が出来るということなのでしょうね。
回復の道は人それぞれ、変化のきっかけも千差万別なのがこの病気ですが、私たちのミーティングでは、気持ちや暮らし方、そして自己評価の変化が症状の改善につながるというAさんのようなパターンの回復を多く見聞きしました。もちろん、前進後退のジグザグはありながらものようですけれど…。
自助グループをやっている身からすると、少し楽になってきた、気になることが少なくなってきた、生活が明るくなってきたというお話を伺うことほどうれしいことはありません。ご表情が変わってきたな、ご発言も変わってきたな、お顔の色がピンクになってきたなと感じられることをしみじみ有難く思います。
ひだまりカフェは、本人、家族、それぞれ月一回のささやかな気持ちと体験の共有の場ですが、今まで背負ってきた大きな重荷を少しでも下ろせる場として利用してもらえるとうれしく思います。
最後にAさんからのメッセージ:みんなの回復を心から祈ります!
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★Aさんの所属する自助グループ(2013/10現在)は、《OA横浜グループ》という、12ステップを利用して回復をめざすグループです。http://oajapan.capoo.jp/
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MK/yy[201310ひだまりカフェbooklet No.12掲載]
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